初めての「瀬戸旅行」に激おすすめなのは、お祭りの時期

愛知の瀬戸は、観光する者に求められるレベルが高いと思った。

せともので有名な「窯元」は飛び地にあるし、窯垣の小径と呼ばれる古い垣根や旧市街の街並みを楽しむにしても、予備知識なしでその魅力をむさぼり尽くすことは、なかなか難しい。裏を返せば、だからこそちょっと手間をかけながら知られざる美しさに触れることで、瀬戸ツーリズムの愉しさは何倍にも膨れあがる。

とはいえ、こういった瀬戸の魅力を短期集中的に味わうなら、ビッグイベントへ遊びに行くのがいい。「せともの」目当ての人も、きっと目当てのうつわに出会えるはずだ。

普段見ることのできない窯元を開放
「ゆるり秋の窯めぐり」

©2018 瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会

毎年、秋も深まる11月上旬に開かれる「ゆるり秋の窯めぐり」は、瀬戸の代表的な焼き物エリアである赤津・品野・水野の3地域が中心になり観光客をもてなすイベントだ。

2017年は、赤津で24軒、品野で17軒、水野で8軒もの窯元がこのイベントに協力して工房やギャラリーを解放しているというから、周り甲斐があるというもの。一軒一軒の窯元をゆっくり見学できるので、ここ数年は若い世代にも人気だという。

窯元では作陶体験はもちろん、子ども連れのお客さんでも楽しめるように、スタンプラリーや窯元ガチャなどが企画される年もある。朝9時から夕方16時台までは無料の回遊バスが回っていて、13時30分発の便まではおもてなしのボランティアが同乗し、見どころを案内してくれる。

©2018 瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会

「ゆるり秋の窯めぐり」

開催日:2018年11月10日(土)〜11日(日)9:00〜16:00
会場:瀬戸市(赤津、品野、水野エリアほか)
TEL:0561-85-2730(瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会)

全国から大勢のファンで賑わう
「せともの祭」でディグろう

©2018 瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会

瀬戸に行くのだから「土産なし」、というのはちょっと考えづらい。

スタンダードに行くなら織部、味わい深さなら馬の目皿か、などと悩みながら瀬戸市の窯元を回れば、きっとあなたもテーブルウェアにラインナップを加えたくなるはずだ。一つひとつ窯を周って「これだ!」というものを見つける愉しさは、瀬戸ならではの醍醐味だけど、「せともの祭」は、そんなせとものが一斉に集まるビッグイベントだと思ってほしい。

毎年9月の第2土曜日と日曜日に開催される「せともの祭」は、2日間に渡って全国からたくさん人がこの街を訪れる。

瀬戸川沿いには大廉売市が開かれ、お店の人や陶芸作家と会話をしながら “瀬戸ディグ” を楽しめる。掘り出しものを見つけるわけだ。直接お店の人と値段交渉をするファンも多いし、ひとつ100円単位のものから陶芸作家の手による逸品までズラっと並んだ「せともの」は、圧巻と言わざるを得ない。

また「青の広場」では、瀬戸染付を買えるだけでなく、染付の体験もでき、毎年行列ができるほどの人気だ。また、瀬戸焼そばをはじめとした屋台めぐりも、楽しい。

©2018 瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会

「せともの祭」

開催日:2018年9月8日(土)〜9日(日)
・8日(土)9:00〜20:00(19:00〜19:40 打ち上げ花火 ※雨天の場合、9日18:30〜19:00)
・9日(日)9:00〜19:00
会場:名鉄瀬戸線「尾張瀬戸駅」周辺、瀬戸川沿い、市内一円
(公共交通機関での移動を推奨)
TEL:0561-85-2730(瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会)
公式HP:http://www.seto-marutto.info/event/setomono/

なにかとイベントが多い
瀬戸の街

©2018 inagaki masanori

名鉄瀬戸線「尾張瀬戸駅」を中心とした瀬戸では、他にも立ち寄りたい祭りが数多く開催されている。

たとえば、2〜3月のひな祭りの季節には「陶のまち 瀬戸のお雛めぐり」。陶磁器やガラスでできた創作雛を展示した巨大ひな壇が瀬戸蔵に置かれるだけでなく、街全体が雛で華やかに彩られる。

春には「せと陶祖まつり」。瀬戸焼の開祖とされる陶祖・藤四郎を偲ぶお祭りとして、4月に2日間にわたって開催される。鎌倉時代の装束を再現した御物奉献行列や、せともの廉売市などが催される。

9月下旬の土曜日と日曜日には「来る福招き猫まつり in 瀬戸」。瀬戸市は、日本で最初に磁器製の招き猫の量産を始めた、100余年に及ぶ歴史ある産地だ。この時期は、街中を招き猫が埋め尽くす。

さっと瀬戸に来て楽しめる自信がある方も、そうでない方も、まずはイベントへ遊びに行ってざくっと全体像が知れると、きっと「2度目の瀬戸」に来たくなるはずだ。

Top image: © inagaki masanori
取材協力:瀬戸市
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。