【宮崎県】ねこまんまとはまるで違う、手間暇かけた絶品「冷や汁」

冷や汁は、日本各地で似たような食べられ方があります。地域によって読み方も様々で、宮崎のものは主に「ひやしる」と発音するそうです。

ここで湧いてくるのが「ご飯に汁をかけるのか、汁をご飯にかけるのか」問題。

宮崎の山師の間では「汁かけめしゃ食うとけがするげなど(ご飯に汁をかけて食べると怪我をするぞ)」という言い伝えがあり、縁起を担ぐお年寄りは汁のほうにご飯を入れて食べる習慣があります。「汁かけ飯」ならぬ「飯かけ汁」ということですね。

夏バテ対策にも効果的
栄養たっぷりの「冷や汁」

©2018 Makoto Kujiraoka

宮崎県のなかでも地域によって様々なレシピがありますが、やはり王道は宮崎市のもの。アジなどの魚を火で炙って乾かしたものをすり鉢ですりおろし、そこに豆腐と味噌を加えてさらにすり、冷まし湯で伸ばす。ネギ、きゅうりの薄切り、おろし生姜、青しそなどを混ぜ合わせ、熱い麦飯にかけていただきます。

魚の良質なタンパク質や野菜のビタミンが多く含まれていることから、食欲の落ちがちな夏によく食べられます。一見するとただ冷めたお味噌汁をご飯にかけた「ねこまんま」のようにも見えますが、しっかり栄養バランスまで考えて作られているのです。

地域によって違う味
宮崎の「冷や汁」百面相

©2018 Makoto Kujiraoka

冷や汁の始まりは鎌倉時代まで遡ります。とある僧侶が全国を旅して広めたものですが、宮崎では気候風土があっているせいか長く食べられ続け、地域によって様々に形を変えつつも現在まで食文化が残っているのです。

椎葉村……味噌を炙って焦げ目をつける
西米良村……いりこをほぐしてゴマと炒り、最後は冷水を注いで作る
北郷村……白身魚や鰹節を使う
細島……冷や汁にアジの刺身が入っている

他にも納豆、オクラ、生卵などを入れたり、さらには冷や汁にラーメンを混ぜるなんて荒技も。同じ宮崎県内でもこれだけバリエーションに富んだ食べ方があるんです。オリジナルで「冷や汁」の美味しい食べ方を開発してみるのも面白いかもしれませんね。

©2018 Makoto Kujiraoka

購入は、まるごと宮崎より。

Top image: © Makoto Kujiraoka
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