天かすにテリヤキソース。イスラエル人が熱狂する「フュージョンSushi」を食べてみた

世界中に派生し独自の進化を遂げる寿司。人口当たりの寿司店舗の数が東京、ニューヨークに次いで3番目に多い都市がわかりますか?

イスラエルの首都テルアビブ。意外ですよね。

これが「めちゃくちゃおいしい!」と旅仲間からのお墨付きを得て、テルアビブ訪問時に試してみることに。以下、食レポと合わせて率直な感想をまとめました。

桜、将軍、ヤクザ、盆栽……
想像力が必要なSushiメニュー

©Akiko Terai
©Akiko Terai

訪れたのは、テルアビブ市内だけでも14店舗を構える一大チェーン「Oshi Oshi Sushi&Bar」。日本で言うところの回転寿司じゃないけれど、イスラエル庶民の感覚と寿司熱を地肌で感じられるお店です。

ちなみに、イスラエルのSushiの主流はカリフォルニアスタイルのスシロール。席に通されさっそくメニューを開くと、SAKURA、SYO-GUN、YAKUZA、BONSAI……日本を連想させるワードで構成されたフュージョンSushiがずらり。

周りを見渡してみます。家族連れ、カウンターで電話しながらつまんでいる人、ショーケースに並んだSushiが飛ぶように売れていきます。たしかに、イスラエル人の日常の食べ物として市民権を得ていることがうかがえます。

テリヤキソース、チリマヨで食べる

さっそく、一番人気を注文してみました。その名も「SUNSET」。地中海に沈む美しい夕日をイメージした創作Sushiがこちら。

©Akiko Terai
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スパイシーツナ(まぐろ)、きゅうり、アボカド、さらにはヤムイモのペースト。具をノリで巻いた外側にシャリ、さらに大外に炙りサーモンが巻かれ、上からあさつき、天かす、カリカリに揚げたパン粉で仕上げた一品。

そこにテリヤキソースとスパイシーなマヨネーズが、お好み焼きの要領でたっぷりかかっていて、なかなかに創作してます。肝心の味はといえば……甘!さらに辛!食感はねっとり、そしてカリカリ。

甘辛の融合と未知なる食感がクセになる

味の主役はサーモンでもマグロでもなくヤムイモ。これが、甘くねっとりする正体。卵焼きやかんぴょう、でんぶによるデリカシーある甘さとはまったくの別物です。

それにしてもヤムイモの甘さ。食べるとほんのり口の中に残るのですが、嫌味じゃない。むしろうまい!

アフリカやオセアニアの島々で広く食べられているヤムイモを日本生まれの寿司に取り入れる。これこそイスラエルのフュージョン能力。アボカドロールのインパクトなんて軽く超えてしまいます。

さらに、その対極をゆくのがピリ辛のチリ。

ピリ辛のタレに漬けたと思われるマグロ、炙ってほんのり甘みが増したサーモン、さっぱりきゅうりの爽快感でまとめたネタ。高く積み上げられた天かすが生むカリカリのアクセントもなかなか。甘辛の幅が日本の巻き寿司とは段違いの「SUNSET」ですが、味と食感両方を楽しませようという意図が十分に伝わってきました。

テルアビブでしか味わえない
フュージョンSushi

世界に散らばっていったユダヤ人たちが、持ち帰った各国の料理があります。そうした世界中の台所の味を巧みに混ぜ合わせ、Sushiにも独自のアプローチをかけているのにもうなずけます。日本の外に出て口にする寿司は、割り切ってSushiとして楽しむ。外から見える日本を体験してみませんか?

©Akiko Terai

こちらも個性的。手前はツナとアボカドを裏巻きにした「TSUNAMI」、奥はトウガラシのスライスが乗った「REDDRAGON」。

Top image: © Akiko Terai
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。