あれほどネガティブだったスマホが、なんだか心強くなった

Lindsay Arakawa(荒川リンジー)

ハワイ出身の荒川リンジーです。以前はNYCに住んでRefinery29でSNSストラテジストとして働いてました。現在は東京に住み、SNSストラテジストとして働き、またアーティストとして創作活動をしています。犬が大好き。最近覚えた日本語は『ほんやくこんにゃく』。Instagram:@blindsaay

新型コロナウイルス(COVID-19)によって世界のほとんどがロックダウンし、多くの人が自己隔離を始める前は、スマホに時間を費やすことは「不健康な習慣」と見なされていた。

“心の健康”に良くないということで、スマホの使いすぎを防ぐために、アプリを使って使用時間に制限をかけることも普通になってきていた。

私自身、TikTokを何時間も見てしまったり、Instagramを何度もチェックしたりしてしまう自分にイライラすることがしょっちゅうある。

@tyna.hoang

でも、今では全世界で「常識」が変わろうとしているのかもしれない。

人々は家を出てはいけないという忠告を受けている。世界に目を向けると、不要不急の外出で罰金を課される地域もある。

イベントは中止になり、海外への渡航も制限されている。私自身も、アメリカに安心して戻ることができ、家族と会える日がいつ来るのか分からない。

多くの人が、これまでは当たり前だった普通の生活を控えざるを得ない状態になっている。そんな状況もあってか、かつての私が“依存症”とネガティブに捉えていたスマホとの関係性に、今の私は安心感を覚えるようになってきている。

些細でつまらないことなのかもしれない。

でも、この一連のできごとが起こる前、私はスマホがいかにスゴいかなんて意識することもなく、当たり前のように使っていた。だけど、スマホがあるからこそ、6千キロメートル以上も距離が離れた場所にいる祖父母に電話して様子を伺うことができる。アメリカの感染拡大の震源地となっているニューヨークで暮らしている友人とメッセージのやりとりもできる。

世界中の最新情報を得ることもできる。1918年に大流行し、1億人が亡くなったとされるスペイン風邪とCOVID-19の類似性を指摘する専門家の記事だって読める。

©Lindsay Arakawa

様々な制約のなかで日々を過ごしていると、友人たちがSNSで発信することや、情報の優先順位が変化していることがわかる。みんながお互いを支え合う方法を探り、この厳しい時期を前向きに乗り越えることに注力しているように見える。

友人たちのなかには、SNSを通じて個人の域を超えた支え合いのコミュニティーをつくろうとする動きも出てきている。これは私の身の回りだけで起きているわけではない。

つい先日も、ニューヨーク・タイムズのポッドキャスト「The Daily」で、Alone Together(共にひとりになろう)というエピソードを聴いた。テック担当の記者ケビン・ルースが、最近インターネットが優しくなっていることに気づいたと語っている。

私の多くの友人が、Instagramでライブ配信を始め、情報をシェアしている。才能あふれる友人の@tyna.hoang は、最高に美しい料理を自宅で作っていて、作り方を分かりやすく解説したレシピを、IG Storiesに載せている。

私も一年前にダウンロードしていたHousepartyというビデオアプリを通じて、バーチャル空間で楽しく過ごそうとしている。このアプリでは、ビデオチャットでインタラクティブなゲームを友人たちとプレイできる。これがまあ、本当に楽しい!

@ajamaile

ニューヨークの人たちが自己隔離を求められた最初の頃、私の多くの友人がお気に入りのワークアウト動画やインストラクションをシェアし始めた。私のお気に入りは、YouTubeのYoga with Adriene。マジで超良い!

このようなトレンドや、ジムの閉鎖が長期化していることも影響してか、アメリカのジムスタジオには、IG Liveで無料のクラスを開講するところもでてきた。

他にInstagramで私の目に入ってきているキュートなトレンドが、「自己隔離中にやれることリスト」。

@newyorknicoは、「オススメ映画リスト」をアップしている。

@jenerousは、「ソーシャル・ディスタンス・ビンゴ」をアップ。(日本の人たちも、ビンゴは遊ぶのかな?)

@mindbodygreen は、自己隔離中にやれることを書いたキュートなチャートや、バランスの取れた家掃除のチェックリスト、便利なスマホの掃除法をアップしている。重宝するかも。

今はとても奇妙な時期で、この先どうなるか分からない。でも、この閉ざされた空間で過ごす時間は、私のこれまでを振り返ったり、特定の事柄に対して持っていたネガティブな考え方を改める機会になっている。

別にこれはスマホへのラブレターではないのだけれど、このような時間は、異なる価値観に触れ、小さなことに感謝できる機会になっている気がしている。

ぜひスマホで愛する人に電話して!TikTokを見て笑って!気持ち的に余裕があれば、ニュースを読んでみて!スマホを、少しでも心を穏やかにするために使ってみて!安全のために、今は家で過ごして!一緒にこの危機を絶対に乗り越えよう!

Top image: © Lindsay Arakawa
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。