3Dプリントで作成した「フカヒレ」の意外な使いみち

米英を中心に広がるフカヒレの国際的な取引規制

すでに輸出入や販売を禁止する法制度も確立しつつあるなか、それでも続く密輸を封じ込めようと、野生生物の違法取引撲滅に取り組むNGO「TRAFFIC」が世界で初めて3Dプリントされたフカヒレを開発した。

よくあるフードテックによる「代替フカヒレ登場」という話じゃない。

3Dプリンター製のフカヒレの使いみち……それは空港や港に持ち込まれたフカヒレが、乱獲や密猟により絶滅の危機に瀕している保護対象種かどうかを、税関職員や執行官らが見分けるための、いわばサンプルだ。

図鑑やデータ資料でよくないか? そんな意見もあるだろう。ところが、乾燥フカヒレの鑑識は相当の腕がいるようで、眼力のあるごく一部の担当者に委ねられていたようだ。言うなれば熟練の職人だけが成せる技。

今回、「TRAFFIC」が超精巧なレプリカを作成することに成功したことで、検査、識別、押収の精度を大幅に向上が見込めると、期待が寄せられている。

世界には500を超える種類のサメがいるそうだが、そのすべてのフカヒレが違法対象というわけではない。

たとえ、絶滅危惧種のアカシュモクザメをはじめ危応種にあたるアオザメ、アブラツノザメなど、「数種のフカヒレの形状を記憶せよ」だったとしても、産地や乾燥の方法によっても形が異なることもあるだろう。

それにつけても、3Dプリンターを応用したレンダリングがまさかフカヒレ識別に活かされるとは……。

現在「TRAFFIC」では、11種22枚のフカヒレの3Dスキャンファイルと印刷・塗装方法の詳細を無料で公開している。

Top image: © iStock.com/gyro
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。