世界初「3Dプリントで建てられた家」が販売開始
米テキサス州オースティンにて、世界で初めてとなる3Dプリンターによる一戸建て住宅が発売。
いまや建築やプロダクトデザインの分野で3Dプリンターが登場することは珍しくないが、住宅として一般に販売されるのは初めてのことだという。
3Dプリンターを駆使したデザインというと先進的なフォルムや質感を持つイメージだが、こちらの外観は至って普通の「おしゃれな住居」といった感じ。
2LDKと4LDKの二種類で、どちらも黒と白を基調としたシンプルなデザインに、に木材によるアクセントがモダンな印象。1階と2階で材質のコントラストがあるのも面白い。
さて、3Dプリンターで作るという試み自体おもしろいのだが、一体どのようなメリットがあるのか。制作した建築スタジオの「ICON」によると、メリットは建築にとってかなり大きいものだという。
まず、耐久性の向上。3Dプリンターによって従来の手法とは異なる様々な素材をプリントをすることで、洪水や暴風、火事などをはじめ、災害と危険に強い住居を実現できるのだそう。
素材はバイオプラスチックから粘土、さらには米を使用したものなど多岐にわたる。これらはサステナビリティという点でも評価できそう。
これだけでも十分だが、さらに3Dプリントによる建築では、費用と時間を大幅に削減することもできる。
プリンターによる制作なので工事の作業を必要とせず、人件費や運搬費用などを抑えられるのだ。これは時間短縮にもつながり、プリントするのにかかった時間はわずか5〜7日程度だという。
こちらは建築の様子がわかる動画。巨大なプリンターが家を絞り出す様子はなかなか斬新。
ちなみに「ICON」は、3Dプリント建築の第一人者とも呼べる存在。ラテンアメリカ地域に手頃な住居を提供する計画を練っているほか、NASAとのコラボで火星や月に居住するための家まで制作しているそう。
新進気鋭の「ICON」率いる3Dプリントによる建築はこれから先、建築のスタンダードになっていくのだろうか。今後の発展にも注目だ。