「パンダ」は人間に「かわいい」って言われたくて白黒なわけじゃない
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
パンダが日本にやってきた日
新型コロナの脅威をはじめ、決して明るいニュースばかりではなかった2022年ですが、そんななかでも多くの人を笑顔にしてくれた素敵なトピックのひとつが2021年の「上野動物園」における赤ちゃんパンダの誕生ではないでしょうか?
6月23日に生まれた双子のパンダは、一般からの公募(応募総数19万2712件!)の結果、オスの一頭が「シャオシャオ(暁暁)」、メスが「レイレイ(蕾蕾)」と命名。ともに全長15cm前後だった二頭は、現在では65cmほどにまで成長し、大人パンダ顔負けのはっきりとした白×黒模様に。ニュースなどで連日映し出される、まるでぬいぐるみのような愛らしい姿を目にした人も多いでしょう。
そんなパンダブームに湧く日本にはじめてパンダがやってきたのは、今から50年前(1972年)の今日、10月28日です。
同年9月に日本と中国の間で正式に国交が結ばれた「日中国交正常化」を記念し、友好の証(※1)として中国政府から贈られたのが「カンカン(康康)」と「ランラン(蘭蘭)」の二頭のパンダ(※2)でした。
11月、上野動物園で一般にはじめて公開されると、世間はたちまちそのかわいさの虜に。第一次パンダフィーバーを巻き起こします。
さて、そんなパンダですが、おそらく多くの人がイメージする“あのパンダ”のほかに、大きさや色、体型の異なる種類(※3)が存在します。そう、こちらも動物園で人気の動物・レッサーパンダです。
じつはこの動物、そもそもは、ただ単に「パンダ」と呼ばれていました。
茶色の体毛をした、尻尾の長い、どことなくタヌキチックなパンダは、発見時、現地の言葉で“竹を食べるもの”を意味する「パンダ」と名付けられました。
が、後に白黒の熊のような大きくもかわいい動物(ジャイアントパンダ)が発見され、生物学的な分類やそのキャッチーなビジュアルなどから後発のジャイアントパンダが「パンダ」と呼ばれるように。
その結果、オリジナルのパンダは「小さい/劣った/重要ではない」という意味をもつ「lesser(レッサー)」という不名誉な称号を名前に冠することになってしまったのです......。
ちなみに、ジャイアントパンダは漢字表記で「大熊猫」、レッサーパンダは「子熊猫」となり、どことなく妖怪っぽさ漂う字面。
とはいえ、これはあくまでも人間界での呼び名の話。ジャイアントパンダ、レッサーパンダともに、その“ありのまま”の姿が人々に癒やしを与え、観る人を笑顔にしてくれる存在です。
アナタのありのままも、きっとまわりの人を笑顔にしていると信じて、今日も、ありのままに......。
※1/日本からはオオヤマザクラとカラマツの苗木を贈呈。
※2/「カンカン」「ランラン」は来日の際に命名されたものであり、中国では「シンシン(新興)」「アルシン(二興)」と呼ばれていた。
※3/現在、分子系統学的には異なる種とされている。