「車を廃棄すると3年間公共交通機関が無料」バルセロナの太っ腹政策
2018年、シカゴ大学より公開された「Air Quiality Life Index」によって明らかになった、健康に害を及ぼす原因。
2位のタバコや3位のアルコールとドラッグを大きく引き離し、ダントツの1位とされたのは、大気汚染と粉塵公害だ。
これを受け、ヨーロッパでは都市部における自動車廃止への動きが活発になってきている。今秋にはパリ市が厳重な速度規制を発表したりと本格化するなか、スペインにて注目の政策が発表された。
バルセロナで導入されたのは、「T-verda」と呼ばれる新種の交通カード。これは「半年以内に車を放棄した住民は、公共交通機関が無償化される」というもの。
車といっても、古いガソリン車や軽油車などの環境対応車の基準を満たさない自動車が対象。この車を廃棄した場合に限り「T-verda」が配布され、有効期限の間は公共交通機関の利用が無料になるのだ。
もちろんセキュリティは厳重で、転売や貸し借りなどは一切不可。本人確認が取れる場合のみ使用できるそう。
「バルセロナ大都市圏(AMB)」と呼ばれる36の市町村からなる都市圏に住んでいる人が対象で、同時にこのエリアでは先述した古い車の乗り入れが日中全面禁止に。
平日の朝7時〜20時まで、同エリアに入るだけで毎度100〜500ユーロもの罰金が課されるという徹底ぶりで、深刻化するスペインの環境問題への緊張感が伝わるプロジェクトだ。
というのも、バルセロナとマドリードは、EUが定めている大気汚染基準の違反が継続しており、欧州委員会よりルクセンブルグの司法裁判所に提訴する決定を受けている都市。
これを受けてバルセロナは、3年以内に市内の自動車数を12万5000台減らし、4年以内に大気汚染を20%削減する目標を掲げている。さらに、それが達成できなければ混雑課金の導入も検討しているそう。
広がる「car-freeムーブメント」を加速させる大胆なプロジェクト。既存の法令よりさらに直接的に自動車廃止に向かったバルセロナは、大気汚染を止められるのか?
今後の結果に期待がかかる。