長野県須坂市に注目すべき11の理由
須坂市は、江戸時代に須坂藩主堀氏の館町として、また大笹街道と谷街道の交差する場として、数々の商取引きが行なわれました。 その後明治から昭和にかけて製糸業で隆盛を極めました。 市街地に現存する蔵は明治から昭和にかけて建築されたものが多く、蔵を生かした商店、博物館、美術館など当時を偲ぶことができます。
須坂市観光協会WEBより抜粋
なるほど、実際に須坂のまちを歩くと、至るところにその歴史の面影を見ることができます。最近では、それらの古民家を改装したレストランやインテリアショップ、宿も人気。市街地から少し足を伸ばすと果樹園が広がっています。直売所を設けている果樹園もあるし、フレッシュで美味しい果物を(都市部に比べて)安価で購入することもできちゃう。
まちのどこからでも眺めることができる山並みもまた、須坂市内。車で20分も走れば雄大な景色が広がる絶景スポットがあり、リニューアルオープンしたばかりのスキー場の近くにはペンション群もあります。
長野県須坂市は、その多様な魅力を包括して「まちの元気創出推進事業」を進めているところ。文化振興や観光推進、その風土をいかした事業展開など、さまざまな角度からまちを盛り上げているわけです。
つまり、それだけ須坂というまちは多様な魅力にあふれてるということ。
実際、須坂に暮らす人に話を聞いても「須坂といえばコレ!」というのは十人十色。だから、ここでは紹介するコトを絞りました。絞ったけれど、11項目(苦笑)。
そう、やっぱり須坂はイロトリドリなんです!
01
散歩するだけで発見がいっぱい!
バリエーション豊かな歴史的建築物
別名、蔵のまち。
冒頭で紹介したように須坂の市街地には、ところどころに歴史的な建築物が残っています。おもしろいのは、その歴史的な背景から江戸時代後期〜昭和初期まで建てられた時期が違ったり、その用途もさまざまなため、意匠や趣が異なること。その脇の路地にも隠れた魅力が。
同じ江戸時代後期の建築物でも、今も営業している(!)「山下薬局」は商家で日本人なら誰もが親しみを感じる佇まいである一方、「田中本家博物館」はもともと豪商の屋敷。その塀や門構え、主屋から庭に至るまで、威風堂々したものになっています。
また、大正6年に建てられたという「旧上高井郡役所」は、一言でいうと大正モダン。この2階建ての洋館は、県内でも唯一残る郡役所の建物なんです。
このほかにも枚挙に暇がない須坂の歴史的建築物。その多くは駅から徒歩圏内にあり、ぶらぶらと散歩しているだけで「ここはなんだろう?」と気になる建物に出会えるはずですよ。
「田中本家博物館」
国指定登録有形文化財であるこちらは、須坂藩御用達商人の住まい。といっても、その広さは相当なもので、敷地内には、11もの土蔵に囲まれた屋敷、母屋、離れ、そして長い年月をかけて手入れされてきた庭園があります。庭園や土蔵5蔵を改装した展示館などは公開されており、江戸中期〜昭和にかけて、屋敷内で使用されてきた衣装、漆器、陶磁器などのお品々も見ものです。
「旧小田切家住宅」
明治時代、須坂の近代製糸業を興した豪商、小田切家の邸宅。白漆喰仕上げの土壁とその下の石積みが特徴的な4棟の土蔵があります。ぼたもち石積みという建物の基礎の部分は、当時かなりの贅沢品だったそう。
「旧園里学校」
明治20年以前の学校にみられる、和風と洋風の折衷建築は擬洋風と呼ばれる様式。現在の校舎は平成に入って復元工事がなされ、当時の学校建築がいかにモダンだったかを感じさせます。
「須坂クラシック美術館」
明治時代初期に建てられた大規模な町家。その昔は関東一ともいわれる呉服商だったことが忍ばれる重厚なつくりです。
「須坂市ふれあい館まゆぐら」
製糸業で栄えたまちに残る、繭を貯蔵する蔵。明治時代に建てられ、昭和初期まで実際に使われていたとか。現在は糸繰り器や蚕棚など養蚕・製糸業関連の資料が展示されています。1階のギャラリースペースは、レンタルも可能です。
02
一日一組1棟貸し
歴史的建築物に宿泊できる!
須坂駅から徒歩15分ほどのところに、築150年の国の登録有形文化財があります。明治9年に建てられた純和風の主屋と明治43年に建てられた洋館からなるこの館は、数ある須坂の歴史的建築物のなかでも、往時の佇まいを色濃く残しています。
じつは現在、この建物は「白藤」という宿泊施設になっているんです。
3ベッドルーム、2キッチン、2シャワールームという贅沢な作り。縁側もあれば、庭もあります。インテリアはベッドやソファ、照明やカーペットまでこだわり抜かれ、アメニティまでも抜かりありません。
ただし、ここに泊まれるのは1日1組のみ。
歴史的建築物を見るのではなく、泊まる体験。一生の思い出になること間違いなし、ですね。
03
海外からの観光客にも人気!
ゲストハウス「蔵」
「白藤」と道を挟んで斜め向かいにあるゲストハウス「蔵」。こちらも築130年という古民家を改装した宿泊施設ですが、雰囲気はうってかわってカジュアルそのもの。ラウンジやカフェでは、ゲスト同士の交流も盛んな人気の宿となっています。
2012年のオープン以来、須坂には海外からの観光客が増えたのだとか。一軒の宿が持つパワー、すごいです。
アクセスも須坂のまちを探索する拠点にぴったり。気軽に泊まれる楽しい宿の存在は、要チェックです。
04
全国トップクラスの果実が生まれるまち
とくにブドウは、2000年代にはいってから、シャインマスカットといった高級ブドウが全国的に定着。須坂市もシャインマスカットを始め、ブドウの生産量はトップクラス。
実は、須坂のぶどうがとってもおいしいというのは、ぶどう好きの間では知られた話。収穫シーズンになると市内の直売所には県外から買い求める人で行列ができるほど。近隣の県はもちろん、東京都からくる人もいるのだとか。
そんなブドウを始めとする果実のおいしさの秘密は、第一に風土。須坂は扇状地であり、豊かな水はけの良い土壌と、年間降水量が少ない土地。昼夜の寒暖差が大きいこともあり、良質な果実の産地として、最高の環境が整っています。
第二に生産者の努力。おいしいぶどうを作るには最低でも7年はかかると言われていますが、須坂では何代にもわたって粘り強くぶどうに情熱を燃やす生産者がたくさんいるんです。
また、市内には長野県が運営する果樹試験場もあります。ここでは様々な果実の品種改良が行われており、近年人気急上昇中の高級ブドウ「ナガノパープル」も須坂生まれ。そんな経緯もあって、須坂の生産者たちは新しい品種の栽培にも積極的なんですね。
「新しくデビューしたクイーンルージュという品種にも注目してください」とは須坂のぶどう生産者の弁。収穫シーズン(9月〜10月)が今から楽しみ!
05
このまちでは、スイーツも見逃せない
須坂はスイーツの宝庫でもあります。
その代表格が餅菓子をはじめとする和菓子。現在では和菓子というと、装飾が施された贈答用をイメージしてしまうかもしれません。だけど、須坂の和菓子はもっとカジュアル。長年地元で愛されてきた素朴なものが多いんです。須坂駅に近いエリアだけでも“まちの和菓子屋さん”が数店舗。店ごとに味わいが異なる“おやき”も買えるのは長野ならでは。
なかでも「コモリ餅店」は創業100年を越えるという老舗。看板商品であるコモリ団子は地元っ子なら知らない人はいない逸品です。昔ながらの石臼で挽いた自家製上新粉で作るお団子は、風味や歯ごたえが違うと評判。ただし、すべて毎日手作りのため店舗販売のみ。もちろん売り切れ御免。須坂に足を運ばなければ味わえません。
上:「湯っ蔵んど」の湯上がりジェラート。温泉に入った後の冷たいスイーツは最高。
右下:「カフェ・ル・パニエ」でいただける、自家農園で採れたプルーンをつかった「農夫のフルーツタルト」。ミルクジェラートと一緒に!
左下:「珈琲哲学 アグリス店」のフルーツパフェ。シャインマスカットのコンポートがたっぷり。
また、ブドウをはじめ、りんご、桃と果樹栽培がさかんな須坂では、果物をふんだんに使ったスイーツも充実。
カフェや喫茶店だけじゃありません。市内にある日帰り温泉施設「湯っ蔵んど」の湯上がりジェラートにまで、シャインマスカットが鎮座しているんですよ!
06
“映画のようなガーデンランチ”はいかが?
須坂市の郊外にある園芸店「ガーデンソイル」に併設された「カフェ ル・パニエ」では、様々な植物に囲まれた庭内の好きな場所で、ランチを楽しめます。
“園芸店の庭”という言葉から多くの人が想像する雰囲気とはちょっと違うんです。とてもナチュラルな状態。人の手が入った華やかな部分と自然のまんまの雑然とした空間がいい塩梅でマッチしたとっても素敵なお庭なんです。
肝心のメニューはバスケットに入ったランチセット。
内容は訪れる季節によって変わるけれど、基本は自家製というのがうれしい。自前の農園で育てた野菜とフルーツを使ったフレッシュな味わいは、ガーデンランチという言葉がしっくりきますね。
07
誰もが思わずつぶやいちゃう
「こんな公園、近所にあったらいいなあ」
須坂駅から徒歩20分、駐車場も完備している臥竜(がりゅう)公園は、須坂市民の憩いの場。
公園は竜ヶ池(ボートにも乗れます)をぐるりと囲むかたちになっていて、池の周囲には立派なソメイヨシノが160本、園全体では約600本の桜の木がある、桜の名所。『さくら名所100選』にも選ばれています。
それ以外にも、アヤメ、フジ、ツツジ、アジサイも植えられていて、四季折々の景色が楽しめます。そうそう、公園の一部となっている臥竜山は松林が見事で『日本の名松100選』に選ばれています。
市街地にあって風光明媚なこの公園、じつは明治神宮や日比谷公園などと同じ設計者だそうです。
さらに、園内には市が運営する小さな動物園まであって、入園料は大人200円とリーズナブル。
こんな公園、近所にあったらいいなあ。
08
臥竜公園で絶対に買いたい!
「まっ黒おでん」
さて、臥竜公園にはもうひとつ忘れていけない名物が!
それは「まっ黒おでん」。
園内にある茶屋のような売店で販売されています。
写真のようにネタは串に刺さっているので、座っていただくもよし、歩きながらいただくもよし。味はもちろん、公園の景色を眺めながら食べるのが、またいいんです。
09
“生きた文化財”須坂の伝統野菜にも注目です
古くから東西文化の融合点にあった長野県は、全国有数の伝統野菜の宝庫。須坂市にも3つの伝統野菜があります。
「沼目越瓜(ぬまめしろうり)」
「八町きゅうり(はっちょうきゅうり)」
「村山早生ごぼう(むらやまわせごぼう)」
どれも読みにくいですね(笑)。
須坂市では、希少となりつつあるこれらの伝統野菜を“生きた文化財”として支援しているんです。
どれも生産量が少ないため、買えるのは須坂市内のスーパーや直売所などがメイン(沼目越瓜は漬物として販売)。なかなか他の地域では手に入らない須坂の伝統野菜は、お土産にピッタリですね。
10
オーロラが見えるスキー場!?
須坂市内にあるスキー場「REWILD NINJA SNOW HIGHLAND(リワイルドニンジャスノーハイランド)」。昨シーズン、リニューアルオープンしたばかりのこちらは、「雪山エンターテイメント」というコンセプトを掲げています。
日本一長い8mの絶景ブランコ、30種類以上のキッズアクティビティ、毎週末開催されるイベントなどなど。まさにエンタメ満載なスキー場ですが、なかでも目玉は日没後の「オーロラ・イルミネーションショー」!
照明、音楽、演出すべてココでしか体験できないオリジナルのショーは圧巻の一言。大人も子どもも、白銀の世界を包む光に釘付けです。
11
個性的なペンションが40軒以上も!
そんなスキー場の近くには、提携している40ものペンションが軒を連ねています。
個性あふれるペンション群は、スキー客以外にも須坂の高原リゾートを楽しもうという人たちに人気があります。
その魅力は、宿のオーナーやスタッフの人柄とお料理。
どの宿も温かいもてなしと美味しい料理が出迎えてくれます。
須坂というまちに興味を持った方へ
現在、須坂市ではまち全体を博物館としてとらえ、あらゆるところで文化財に触れたり、ローカルな文化を感じられる「まるごと博物館」を打ち出しています。
このまちの魅力をもっと知りたい方は、下のボタンからぜひ一度チェックを。きっと「おっ、こんなところがあったんだ」と須坂に興味がわいてくるはず。