「今回は本当に重要」IPCC本気の警鐘。8年ぶりにレポートが公表

「1.5度」——。

これは、昨年のCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)で掲げられた気温上昇の目標値だ。

2015年のパリ協定では「2度よりかなり低くし、できれば1.5度に抑える」だったところを、さらに引き下げたもの。

あれから7年が経ったいま、地球はどのような状況にあるのだろうか。指標となる重要なレポートが公開された。

© IPCC_CH/Twitter

2月28日、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による報告書『Climate Change 2022』が公表された。

最新の研究結果を踏まえ世界各国の科学者がオンラインで議論した、気候変動が自然社会に及ぼす影響をまとめたもの。前回の公表から8年ぶりとなる更新だった。

結論がこちら。

人間が引き起こした気候変動は、自然や社会へ広く悪影響を及ぼし、さまざまな損害をもたらしている」。

あくまで「気候の変化」が自然や人間に影響を及ぼしているという表現だった前回から踏み込み、それが人間の行動によるものであることが強調された。

そして、「気温上昇を1.5度に抑えられたとしても、今後20年間にわたって世界は様々な危機を迎える。一度でも1.5度を越えれば、それはさらに深刻で取り返しのつかないものとなる」ともコメント。「1.5度」が持つ意味があらためて掲げられた。

議長のイ・フェソン氏は、「報告書が示すものは、これまで対策を怠っていた我々への警告だ。直ちに大きく動き出す必要があることを訴えている」と語る。

また、作成に携わった東大の沖教授によれば、当初の想定以上に気候変動による悪影響は顕在化していて、これ以上進行すれば人類が適応していくことすら困難になっていくという。

およそ他人事ではなく、すでに日本でも不漁が深刻化していたり、米の品質低下が確認されていたりと日々の生活にも悪影響が出始めているという。

未来や子孫のことを考える以前に、自分たちすら生きていけるか危ういのが現状。個人・企業問わず動き出す必要があることを、一人ひとりが意識するほかない。

© ipcc/Instagram
Top image: © Bruce Rolff/Shutterstock.com
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。