無限のエネルギー!? 地球「ディグ」プロジェクト始動
次世代のクリーンエネルギーとして、いま注目されている地熱発電事業がある。
ボストンとヒューストンに拠点をおくマサチューセッツ工科大学(MIT)の新興企業「Quaise Energy」が、およそ4000万ドル(約50億円)の資金援助をうけ、地中掘削プロジェクトを計画中だ。
地中奥深くから取り出した蒸気を活用して発電するという「地熱発電」自体の歴史は古く、1900年代初頭まで遡る。
石油や石炭を燃料として用いる火力発電とは異なり、地球が“ボイラー”として働いてくれるため、再生可能エネルギーという観点からも、地熱発電への期待がここ数年、高まりをみせてはいるものの、太陽光や風力による発電に比べ、現在でも活用が進んでいない。
カギは摂氏180度以上ともいわれる地中深部の高温環境下で、いかに効率よく岩盤を砕いていくことができるか、という点にある。
地熱を得るため、少なくとも地下20kmまで掘らなければいけないのだが、ドリルによる掘削は地中の圧力と高温に耐えきれない。
そこで「Quaise Energy」は、新技術となる「ビームテクノロジー」を採用。なんでもSFから発想を得たそうで、高速で回転する電子の運動をエネルギーに置き換え、ミリ波帯電磁波を利用して通り道にある岩を蒸発・融解するシステムなのだとか。
ものすごく強力そう……。
現在、世界中で消費されている地熱エネルギー量は、わずか0.3%ほどに止まっている。今回の掘削プロジェクトが成功に向かえば、その割合は増加し、地下資源をもっとエコフレンドリーに活用できる、と同社は期待を寄せている。
CEO兼共同創業者のCarlos Araque氏は、「Daily Mail」へのインタビューでこう語った。
「我々の技術は世界中どこでもエネルギーへのアクセスを可能にします。風力発電よりはるかに大きなスケールで、次世代が豊かでクリーンなエネルギーのもとで生活できるよう尽力してまいります」。
地熱発電によるクリーンエネルギーが主要となる日は、そう遠くない未来にやってくるのだろうか?