コロナ禍で「億万長者」が急増。その裏で明らかになった「貧困と富」のアンバランス」

未曾有の感染症に世界が混乱をきたした、2019年末からのおよそ2年。コロナ禍に世界の貧富のバランスは、我々の想像をはるかに超えるほど極端なものになっていた……。

国際NGO「オックスファム(Oxfam)」が発表した報告書によれば、コロナ禍に保有資産10億ドル(日本円にして約1280億円)を超える、いわゆる億万長者が世界中で573人新たに誕生したそうだ。

先月開催された世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に合わせて発表されたこのレポート。経済誌『Forbes』が発表した億万長者リストの最新データソースに基づくもので、彼らの資産合計額はおよそ42%増、金額にして12兆7000億ドルにも達するらしい。

コロナ禍で世界の富豪たちの資産が増加している話題は、今年2月にもオックスファムによる報告を紹介していた。背景にあるのは株価のV字回復や、それを支えた政府による財政援助も大きく影響しているはずだ。

さて、今回のオックスファムによる報告書で紹介したい点は、単にパンデミックが世界の富豪を増やしたという事実だけではない。その裏で、今年新たに世界で2億6300万人近い人々が極度の貧困に陥る可能性があるという予測も。

報告書によれば、パンデミックのあいだに億万長者は30時間に1人の割合で増加したのに対し、貧困層は33時間に100万人という速度で増加しているとも。

そもそも同団体は、貧困と不正の根絶を目的に世界各地で支援活動を続けるNGO。

億万長者を引き合いに出しながらも、本来我々が注視するべき数字は、この無尽蔵に増え続けている貧困層の方なのではないだろうか?

 

「貧困と富のこれほどの急拡大は、歴史上、類を見ない出来事だ」。

 

CNNに語ったオックスファムの格差政策部門の責任者のコメントが、わずか2年あまりのあいだに起きた“極端さ”を如実に顕しているように思えてならない。

食糧品をはじめ物価の上昇は歯止めがかからない現状は、我々の生活にも打撃となっている。が、同時に価格高騰で利益を得ている人たちも世界のどこかにいるのは確か。

格差是正の抜本的対策として、富裕層や大企業への課税を主張するオックスファム。課税がすべて(あるいは正義)では決してないだろうが、コロナウイルスが世界経済に与えたインパクトは、計り知れない。

格差とは、平等とは、そして誰もが不自由なく暮らせる世の中とは……。今回の貧富を二分する「数字」に、アナタは何を思いますか?

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。