今さら聞けない「チル」ってなに?
この4〜5年で一気に耳にすることが増えた「チル」。
「チルい」「チルする」「チルってる」のように形容詞や動詞みたいに使われることもあるし、「チル旅」「チル部屋」「チル消費」のようにキャッチーな名詞として使われることもしばしば。SNSのハッシュタグでも驚くほどの数が出てきますね!
最初はただの “流行り” で終わると思っていた方も多いかもしれませんが、ここまで広まったのはきっと「チル」という言葉が含む、個々の心地良さを大切にするニュアンスや、まったりする時間を大切にしようというメッセージが、今の時代に求められているからではないでしょうか。
ここでは、チルの意味や、使われ方。そしてなぜチルが求められるのかを少しだけ深堀りしていきたいと思います。
チルってどういう意味?
そもそも「チル」の語源はなんでしょうか?
三省堂の新語ランキング「今年の新語 2021」で「チルい」が大賞を取ったので調べたことがある方も多いかもしれませんが、もともとは「くつろぐ」とか「まったりする」という英語のスラング「chill」がルーツだと言われています。
ただchillの本来の意味は、チルドとかでも使われるように「冷たい」とか「寒い」と言ったものです。
そこから、盛り上がりすぎたダンスフロアを落ち着かせるような曲を流す、という意味で「chill out(チルアウト)」という言葉が広まったり、ラップやヒップホップではよく使われていたフレーズですが、日本でも同様のネーミングのリラクゼーションドリンクなどが登場したことで、一気に身近の言葉として浸透してきました。
2021年の「JCJ・K流行語大賞」のコトバ部門では「超チルなラッパー」が選ばれましたが、拡散のきっかけはTikTok。「え、あたしの夢っすか?」の動画を覚えてる方も多いでしょう。
一方で気をつけたいのが、ちょっと誤解されてしまうかもしれない海外での受け取られ方。
場合によってはチルする=大麻(マリファナ)を吸うことと捉えられたり、「Netflix and Chillしよう」は、日本語の「家で映画でも見ない?」のように、遠回しにセックスへ誘うニュアンスを含んでいることも……。
なぜチルが求められるの?
なかには、「チルい」という言葉を直接的に使ったことはないけど、その感覚は分かる! という方もいるのではないでしょうか。
サウナやキャンプ、焚き火、シーシャなどにハマっている方や、マジックアワーの時間のお散歩が好きな方、コロナ禍をきっかけにゆったり家飲みをするのが定番になった方——。
それはきっと、忙しい毎日から少しだけ距離を置く瞬間だったり、そのときだけはスマホから離れるデジタルデトックスだったり、自分が心地よく過ごすための大事な時間になっているはず。
また、そういったチルな瞬間を後押ししてくれるアロマやルームランプ、ポータブルスピーカーやホームプロジェクター、ノンアルコール飲料、CBDベイプなど、さまざまなガジェットや嗜好品が増えてきているのも時代の特徴かもしれません。
バズワードとして扱われることも多い「チル」ですが、きっと「ウェルビーイング」のように、自分自身と目の前の時間を大切にするという価値観が徐々に浸透してきている証拠なのでしょう。