今さら聞けない。「TikTok売れ」って実際どうなの?

「TikTok売れの勢いがすごいらしい」——昨年のバズワードのひとつとして、あらゆるところで耳にしたテーマですが、2022年現在、それらの購買行動が一過性のものではなく、“新しいスタンダード” として定着しつつあるように感じます。

世界の累計ダウンロード数は35億回を超え、2022年の第1四半期のアプリダウンロード数1位と報告されるTikTok。そこはもはや音楽に合わせてかわいい女の子やおじさんたちが踊っているだけのプラットフォームではなく、役立ち情報から、癒し、エンタメ、ファッション、アニメーション、言葉の壁を超えた投稿まで、多様化したコンテンツが幅広いターゲットに “未知との出会い” を届けているんです。

今回はそんなTikTokを通じた購買体験「TikTok売れ」について、その背景や理由を少し深堀りしていきたいと思います。

そもそも「TikTok売れ」って?

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「TikTok売れ」は、文字通りTikTokをきっかけに爆発的に購入が伸びることを指しますが、特徴的なのはそのジャンルの多様さ、です。ユーザーが急増していて、かつTikTokそのもののコンテンツが多様になっていることも要因のひとつでしょう。

お菓子や飲料のようにいつもコンビニに置いてあったものが突如「ダイエット」や「アレンジレシピ」をきっかけにバズることもあれば、ハッシュタグキャンペーンで美容アイテムの売り上げが爆増したり、懐かしい小説がふとしたきっかけで注目されて入手困難に……なんてケースもあります。

TikTokによれば「TikTok内で紹介された商品・サービスを購入したことがある」という調査に対して、2018年は12.7%だったものが、2021年には18.0%まで上昇。現在はさらに伸びていることが予想できます。

確かに自分たちの周りでも「TikTokで見たアレ買っちゃった」とか「○○さんがTikTokで紹介してたやつ、めちゃ良さそう」みたいな会話が日常的になってきましたよね。

なぜ、TikTokでは
「欲しいもの」が見つかるの?

「TikTokきっかけでつい買っちゃう」という購買体験を支えているのが、ユーザーの滞在時間の80%(約1時間!)を占めていると言われる「おすすめフィード」です。

おすすめフィードはいわば「すでに好きなもの」だけではなく「自分でも気づいてないけど次に好きになるかも」が見つけられる場所。その精度が高く、かつショート動画で効率的に新鮮な情報に触れられるので、結果的に消費行動が促される、ということ。

いまだにTikTok=クリエイター動画、というイメージが強い方もいるかもしれませんが、TikTokの視聴体験自体が “レコメンド中心” なので、偶発的な出会いや自分が欲しい新しい商品・サービスが見つかりやすい、とも言えます。

たとえば、SNSや検索プラットフォームを使っていて「似たような情報にずっと追いかけられる……」「情報が多すぎて本当に欲しい情報までたどり着けない……」といったストレスを抱えていた人にとって、TikTokは “ちょうどいいレコメンドパートナー” でしょう。

それはつまり「買って欲しい側」 からすると、潜在的なファンや新規顧客とつながりやすい、とも言えます。

ググる→タグる→トクる?
Z世代は受身型検索へ

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ググレカスという言葉が「現代用語の基礎知識2008」に採用されてから、早15年……。

もちろん今でもGoogleを起点にしたサービスはとても便利ですし、YouTubeを調べものとして活用してる人も多いと思いますが、一方でInstagramのハッシュタグ検索をする「タグる」が若い世代で主流になったり、現在はTikTok上での受身型の検索とも言われる「Tokる(トクる)」の利用も増えてきています。

なぜ受身型なのか? というと、検索ページにあらかじめ複数のキーワードが表示されるシステムで(たとえば「女子旅 温泉」など)、ストレスを感じる前に自然と見てしまう設計になっているんです。

TikTokによれば、現在は「フィットネス」「アニメ・漫画」「楽器・歌」「エンタメ」「映画・ドラマ」「ペット」「料理・グルメ」「赤ちゃん」「日常風景」など、検索ニーズが高いジャンルが平均128%上昇傾向にあると報告されていて、動画検索エンジンのひとつとしても注目が高まっているんです。

まとめ

「人気のSNSだから売れるんでしょ?」と表面的に捉えることは簡単かもしれませんが、よくよくその仕組みを見ていくと、現代のライフスタイルや「知りたい、出会いたい」というニーズにとても最適化されていることが分かる、TikTok。

 

「テレビのCMで見た」
「先輩に教えてもらった」
「好きな雑誌に載っていた」
「口コミが多かった」
「憧れの人が紹介していた」

……時代と共に「欲しい!」のきっかけも変わりますが、テクノロジーの進化によって「発見から購買」までのスピード感や心の動きも変化しています。もちろん、コロナ禍で外出が制限されるなど、生活スタイルが大きく変わったことも無関係ではないでしょう。

もしかしたらあなた自身も「次の好き」が見つかるかもしれませんよ。

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