銭湯サウナの不思議な「おばちゃん世界」

サウナ大好き作家・岩田リョウコさんと、サウナをこよなく愛する女優・清水みさとさん。

ふたりがどのようにサウナを日常に取り入れ、どんなサ活を楽しんでいるのか。気になりますよね？ そこで、ふたりのサウナな日々を「交換日記」に綴ってもらいました。

第17回は、リョウコさんからみさとさんへ──。

みさとちゃんへ

みさとちゃんのサウナだけ旅の日記、サウナゼロ旅だったわたしにはよだれものでした……。それに、フィンランドのサウナたちもこれだけ入ってもらえたらサウナ冥利に尽きるって、よろこんでくれていると思います（笑）それにサウナでケーキ、みさとちゃんの夢が大晦日に叶っちゃったじゃないですか！

読んでるだけで“脳内サウナ再生”できました。おすそわけ、ありがとう〜！

フィンランドのサウナってどれも個性があって、オーナーの想いがつまっていて、すべて唯一無二ですよね。行っても行っても無限にサウナがあって。だから何度もフィンランドに行ってしまう。もうフィンランドごと、こっちのほうに引っ越してきてくれないかな、そしたら週末でささっと行けるのに。（あれ、そういえばわたし『週末フィンランド』っていう本、出してますね……。）

みさとちゃん、日本に帰ってきて日常のサウナはどうですか？エクストリームサウナのあとだと、物足りなくなってないですか？

わたしはアメリカの“ゼロサウナ”から、いつもどおりのサウナ生活に戻りました。日常サウナとしてよくお世話になっている自由が丘の「みどり湯」に、先日今年初めて行ってきました。

65年続くみどり湯さん、じつは去年クラウドファンディングをして11月中旬に外観とフロントまわりがかっこよく生まれ変わったんです。

こちらが以前の外観 ↓↓

現在の新生「みどり湯」↓↓

いつも夜〜閉店ぎりぎりに行くのですが、この日は執筆に行き詰まってしまい、気分転換で散歩がてらお昼の開店と同時にいきました。空いてるかなと思いきや、常連さんで大賑わい。そこにはわたしの知らないお昼の銭湯の世界が広がっていました。

お互いの背中を洗い合うお客さん（相当の仲！）。

「今日はちょっと早く来たのね」と声を掛け合うお客さん（お互いのルーティンを完全に把握している！）。

サウナ室でじっくり読書にふけるお客さん（たしかに本禁止とは書いてない！）。

そして、ロッカーではふたりの女性がお話していました。

「元気そうじゃない？」

「そうでもないけど、病気してないだけありがたいわ」

「もうちょっとがんばって生きなきゃね」

「そうね、辛いことも悲しいこともあった人生だったわ。でも楽しいこともそれなりにあったし。それがあるから生きていけるのよね」

「そうよ、みんなそれぞれ辛い思い、たくさんしてきてる。でも思い返せば楽しいこともうれしいこともたくさんあるのよ」

「賢い人は苦労をしないように上手に立ち回るけど、私はまわり道ばっかり。でもそれはそれでいいの。じゃあね、また明日〜」

「はい、気をつけて帰るのよ〜！さようなら〜」

えー！突然人生の振り返りから、ささっとバイバイ？

銭湯の人たちの観察って本当におもしろい。たぶん、お互い名前さえ知らなかったりもするけど、いろんな年齢層の人が裸で集まって、「お風呂」っていう短い時間を共有して細く長くつながるコミュニティ。

みさとちゃんはジムサウナのおばちゃんたちに出会ったことがサウナをはじめたキッカケだったけど、20歳とかでこのおばちゃんたちとどうでもいい話をしてたかと思うと、突然知恵の言葉をぶっ込んでくる世界に「おもしろいから仲間に入りたい」と思ったっていうのが、わたしからしたらとってもおもしろい世界の見方だなぁって思います。

一般的な大学生の女の子は、威圧感のあるおしゃべりおばさんの仲間に入りたいって思わないですから！（笑）

でも、だからこうして年齢を飛び越えてわたしたちも仲がいいのかなって思います。

2023年も、小さなおもしろいこと、しあわせなことを見つけて、集めて、そしてたのしく日々鍛錬。そんな1年にしていきたいです。

とはいうものの、今、新刊の執筆大詰め。ずっと家に篭って朝から晩までパジャマのままパソコンに向かう生活をしているので、おもしろいこと探しにわたしを外へ連れ出してください！

連絡、お待ちしています。

『みどり湯』

【住所】東京都目黒区緑が丘2-7-13
【営業時間】13:00〜22:00
【定休日】木曜日

↓「サウナ交換日記 〜vol.16」はこちらから↓