「直感」って、じつは経験の積み重ね

サウナ大好き作家・岩田リョウコさんと、サウナをこよなく愛する女優・清水みさとさん。

ふたりがどのようにサウナを日常に取り入れ、どんなサ活を楽しんでいるのか。気になりますよね? そこで、ふたりのサウナな日々を「交換日記」に綴ってもらいました。

今回は、リョウコさんからみさとさんへ──。

岩田リョウコ

文筆家、イラストレーター。アメリカ在住中に出版したコーヒー本『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』が全米ベストセラーに。世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でサウナ・スパ健康アドバイザーの資格を持つ。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ!クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない!』、『HAVE A GOOD SAUNA! 』『ちょっとサウナ行ってきます』。近著に『直訳やめたら英語が一気にできるようになった私の話』。
SNS:@ilovecoffeejp

みさとちゃんへ

 

ゴールデンウィークはわたしたち二人、そろってお仕事で出雲。ラッキーでしたね。

出雲に呼んでもらえたのもでしたが、出雲大社でこれからもワクワクするような縁が増えていくようにしっかりお願いしておきました。みさとちゃんの言う通り、出会いや縁は自分が引き寄せているのだろうけど、宇宙からのプレゼントみたいなもんですね。大事に受け取っていきたいです。

©岩田リョウコ

その「縁」を受け取るかどうかは、自分の直感みたいなものを働かせる必要があると思うんですが、自分で言うのはなんですが、わたしは結構、“映画の直感”がいいような気がしています。

ちなみにどこかで読んだんですが、直感ってじつは自分の過去の経験を総動員して瞬時に判断していることだから、やっぱり信じていいものらしいですよ。

わたしは結構な数の映画を、それはもう30年くらい観ているので直感も鍛えられてなきゃ、何してたんだって感じなんですけどね。

 

ここ最近だと、タイトルを見た時に「コレは……!」と思ったのが『AIR /エア』です。

ベン・アフレック監督、マット・デイモン主演。このふたりの映画はだいたいアタリなので、ちょっと直感というよりは当てに行っている感じはありますが、ストーリーは、80年代。

当時スニーカー界では4番手とパッとしない「NIKE」が、自社のバスケットシューズの広告塔にどのNBA選手を起用するかというところからはじまります。

人気がなく予算も少ないNIKEが当時ルーキーだったマイケル・ジョーダンを起用して一発逆転を狙い、今では世界中が知っている「エア・ジョーダン」を生み出した話です。

© warnerjp_official /Instagram

この映画、たくさん“直感”が出てきます。

わたしが「この映画はおもしろい」と直感したのは、そこにも繋がっていたのかもしれません。

 

新人だったマイケル・ジョーダンの可能性を直感で感じたマット・デイモン演じる主人公。「そう感じたなら、逃すな」とアドバイスする友人。最初はできるわけないと引いていたけれど、情熱に動かされて一緒に人生を賭けることにするNIKEの人たち。そして、その情熱溢れる直感を受け取るジョーダン一家……。

直感を信じる人たちの胸熱すぎる実話です。熱くなりすぎて観終わったあとからエア・ジョーダン、物色しています(笑)。

 

今ってアメリカの文化も、モノも、情報も、なんでも結構シームレスに手に入れられますけど、80年代のアメリカは世界の憧れだったように思います。

アメリカンドリームとかアメリカ人らしさ、みたいなのがすごくよかった時代。わたしはまだ赤ちゃんだったのでリアルタイムの80年代を知らないのですが、小学生から映画を観はじめて、長い間映画を観てきましたが、やっぱり80年代のアメリカ映画が今でも一番好きです。

©岩田リョウコ

こちらも80年代。わたしの大好きな名作『グーニーズ』のTシャツ。

『AIR /エア』は直感を信じてルールを破り、一発逆転のアメリカンドリームというアメリカらしいアメリカのよさがすべて詰まった映画だったと思います。「Amazon Prime」で視聴ができるので、ぜひ。

 

それで言うと、サウナの直感はじつは結構外すことが多いです。

まだまだ経験が少ないのか、サウナとは外見だけではわからないものなのか、すごく洗練されたおしゃれな外観で、こんなにデザインがすごいのならサウナ室も……と思ったら意外とよくなかったり、古くてボロッボロの外観でもサウナ室の温度も湿度も水風呂もバッチリだったり。

サウナの場合、意外性があったほうがラッキーな気がするので、直感は外れてくれてていいかも。

 

先週行ったサウナなんですが、「直感」というより「いいに決まってる!」と思って行って、やっぱりそのとおりだったのがあります。品川区大井の「すえひろ湯」です。

©岩田リョウコ

大井町にもともとあった古い銭湯でしたが、老朽化が進んで2022年に閉店する予定でした。

それを聞いた大崎にある銭湯「金春湯」の4代目角屋文隆さんが、銭湯をなくしたくないという思いで引き継ぎ、生まれ変わらせて2022年12月にオープンしたのがすえひろ湯です。

 

金春湯のサウナがすばらしいので、角屋さんが作り直したのなら、いいサウナだろうって確信がありました。入ってみて、やっぱりすばらしかったです。小さいスペースなので、ストーブを置かずに座面・背面にストーブを入れ込む「ボナサウナ」になっています。なのでしっかり全体が温まる。さすがだなぁと思いました。

 

最近はサウナの情報を事前に仕入れてから、いいとわかってるサウナへ行くことが多いんですが、喫茶店みたいにふらっと直感で入って「めちゃくちゃよかったー!」っていうサウナに出会えたらいいなぁなんて思いながらも、やっぱり失敗したくない気持ちが勝ちますね。

 

長くなりましたので、この辺で。あ、とりあえず『AIR /エア』、みさとちゃんも好きだと思うのでぜひ観てください。では!

すえひろ湯

【住所】東京都品川区大井1-42-4
【営業時間】月〜金:15:00〜25:00、土日:10:00〜25:00
【定休日】火曜日

↓「サウナ交換日記 〜vol.28」はこちらから↓

Top image: © 岩田リョウコ
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