なぜ大型哺乳類は顔が長い傾向にあるのか?豪「Flinders University」が新たな見解を発表【研究結果】

牛、馬、ロバ、キリン……といった大型哺乳類に共通しているのは、顔が長いこと。なぜ体のサイズが大きいと顔長になるのかはこれまでよく分かっていなかったが、オーストラリアの「Flinders University」が新たな見解を発表した。

顔長のナゾは、「どのように顔を使って食事をするか」というシンプルな生体力学で説明できるらしい。

どういうことかというと、「小さい動物は筋肉量が少ないため、噛む力を強くするために顔を短くする。一方で、大きい動物は噛むのに必要な力があるから、顔を長くしても問題ない」ということなんだそう。

この考え方は、てこの原理をイメージすると分かりやすいかもしれない。たとえば、トングで肉を掴むときは、より先端に近い部分を持つ(手と先端部分の距離を短くする)ほうが力を加えやすくなるだろう。この法則が、哺乳類の顔にも当てはまるという。

では、なぜ大型哺乳類はわざわざ顔を長くするのだろうか?その理由は、さまざまなシーンにおいてメリットがあるからなんだそう。

草食動物の場合は、顔が長いと草木の奥まで顔を突っ込んで食べ物を探したり、一度に多くの量を食べたりできるようになる。肉食動物なら、顔を長くすることでより大きな牙を持てるだろう。

つまり、哺乳類は口先の機能性をアップさせるため、余裕があれば顔を長くする傾向にあると考えられるという。

ただ、この法則には例外もあり、その代表的な例として私たち人間があげられるらしい。というのも、ヒトは霊長類の中では大型であるにも関わらず、顔が極端に短いそうだ。

これにも食事が関係しているらしく、ヒトは顔ではなく手を使って食べ物を探したり料理をしたりするため、顔を長くする必要はなかったと考えられるとのこと。ヒトはほかの哺乳類とは異なり、顔ではなく手のスペックを極限まで高めることを選んだというわけだ。

もし私たちの祖先がほかの哺乳類と同じように顔の性能アップを選んでいたとしたら、人間の顔はもっと"面長"になっていたのかも——?

Top image: © iStock.com/Azaliya
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。