キスでくっつく!? カエルの「粘液」が医療を変える
お姫様のキスでカエルが王子様に……は、誰もが知るおとぎ話での世界線。ところが、現実世界において、キスでくっつくのは王子様ではなく、天敵かもしれない。
というのも、ある種のカエルは敵に襲われると、強力な粘液で身を護るんだそうで。
想像を絶する防衛本能!
カエルの粘液は天然の接着剤
不思議なカエルの特性を紹介したのは米ニュースソース「The Conversation」。いわく、特定のカエルは、身の危険を感じると皮膚から特殊な粘液を分泌するらしい。この粘液、ただものではないようで、なんでも数秒で強力な接着剤に変化し、襲ってきた敵の口や体をベッタリと固めてしまうというのだ。
たとえば、マダガスカルに生息するアカトマトガエル。鮮やかな赤色の体が特徴だが、敵に襲われると、この驚異の粘液を武器に戦う。その威力たるや、ヘビでさえも顎を固められ、獲物を諦めざるを得ないほどだという。
未来の医療を変えるか?
カエル粘液とバイオミミクリーの潮流
驚くべきことに、このカエルの粘液、私たち人間にとっても大きな可能性を秘めているんだそう。医療分野、特に手術用接着剤としての活用が期待されているようだ。従来の医療用接着剤と比較してもカエルの粘液は、強力な接着力、柔軟性、速乾性、そして生体適合性の高さが魅力らしい。
約1億年も前から存在するというカエル。長い進化の過程で生き残るために獲得したこの能力は、まさに驚異と呼ぶにふさわしい。
現在、世界中で環境問題解決の糸口として、自然の力に学ぶ「バイオミミクリー」という考え方が注目されている。生物のもつ優れた構造や機能を模倣し、技術開発やイノベーションに役立てようという試みだ。
カエルの粘液から生まれた医療用接着剤は、まさにこのバイオミミクリーを象徴するような技術と言えるだろう。近い将来、私たちが病院でその恩恵を受ける日も来るかもしれない。カエルの粘液は、自然界の無限の可能性を示す好例ではないだろうか。人類が自然から学び、共存していくことの重要性をあらためて認識させてくれる。
👀 GenZ's Eye 👀
人間の問題には自然を活用しよう!という姿勢は、動物愛護の観点からは搾取である、という意見も上がりそうではありますが......。私たちは自然に支えられながら生きているので、彼らの力を借りなければいけない立場にあることもまた事実なわけで。動物倫理の問題が奥に隠れている感じもして興味深いトピックです。