スペイン人気リゾート地を襲う「観光汚染」 に罰金10万円。その内容が……

青い海と白い砂浜が広がるリゾート地。誰もが一度は夢見るバカンスの風景の裏側で、今、ある深刻な問題が進行している。

舞台はスペイン北西部に位置する都市、ビーゴ。豊かな歴史と文化、そして美しい自然が魅力のリゾート地として人気を集めている。英「Daily Express」によると、2022年にはスペイン全体で8500万人もの外国人観光客が押し寄せたという。しかし、観光客の急増は、時にその土地に思わぬ歪みをもたらす。ビーゴ市で施行された新たな条例は、私たち旅行者に重要な問いを投げかけている。

「ビーチでおしっこ」を許すな!
リゾート地、怒りの決断

「Daily Express」によると、現在ビーゴ市が抱える深刻な問題として、ビーチや海での「排尿行為」を指摘。美しい景観を誇るビーチが、一部の観光客のモラルの低さによって汚染されているというのだ。海水浴客の尿に含まれるアンモニアやバクテリアが、海洋生態系に悪影響を及ぼす可能性も指摘されている。

事態を重く見た市当局は、公共の場での排尿行為に対し、最高750ユーロ(約12万円)という罰金を科す条例を施行。美しいビーチを守るための苦渋の決断だったのかもしれないが、正直もっと罰金が高くてもいいような気さえする。

「オーバーツーリズム」が加速させる
環境問題とマナー意識のジレンマ

ビーゴ市の事例は、決して対岸の火事ではない。世界各地の観光地で、オーバーツーリズムに起因するさまざまな問題が深刻化している。ゴミのポイ捨てや騒音、私有地への侵入など、その内容は枚挙にいとまがない。

近年、注目を集めているのが「サステイナブルツーリズム」という考え方。これは、環境保護や地域社会への貢献を意識した、持続可能な観光のあり方を指す。旅行者一人ひとりが意識を高め、責任ある行動をとることが求められている。

「旅の恥はかき捨て」はもう古い

かつては「旅の恥はかき捨て」なんて言葉もあった。しかし、現代において、その土地の文化や人々への敬意を欠いた行動は許されるものではない。持続可能な観光を実現するため、旅行者一人ひとりの意識改革が必要とされている。

旅の醍醐味は、その土地の文化や自然、そして人々との触れ合いにある。しかし、その一方で、私たち旅行者の一人ひとりの行動が、その土地に大きな影響を与えることを忘れてはならない。

トイレ問題ひとつとっても、少しの心がけで状況は大きく変わるはず。事前にトイレの場所を確認するなど、旅のマナーを守り、その土地へのリスペクトを忘れなければ、「トイレ禁止令」が発令されるような事態は回避できたのかもしれない。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。