希望価格1億円、宇宙で醸造される日本酒『獺祭 MOON』販売へ。旭酒造が月面酒造プロジェクトを始動
人類の月面移住が現実味を帯びる中、未来の“宇宙生活を豊かにする”存在として、日本酒が注目を集めているらしい。
旭酒造株式会社が、人類初となる「宇宙空間での酒造り」に挑戦することを発表した。
獺祭を月面酒造。
1億円をかけた挑戦『獺祭MOON』
発表によると、旭酒造は国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟内で獺祭の醸造に挑戦するという。
人類初の宇宙空間での酒造りとなる本プロジェクトは、2040年代に人類の月面移住が実現した場合に、長期間の宇宙生活の中で酒が“生活に彩りを与える存在”になり得るという考えの下、先陣を切るべく名門の獺祭が選出された形だ。
選出の背景は、水分を多く含むブドウと比較し、穀物である米は軽く月まで輸送しやすいということ。将来的には、月にあると言われる水を利用し月面で獺祭を造ることが目標だという。
プロジェクトでは、「きぼう」で発酵させた醪(もろみ)の約520gを冷凍して地球へ持ち帰り清酒にした後、その内の100mlをボトル1本に瓶詰めする。
こうして出来上がった1本が『獺祭MOON – 宇宙醸造』として販売される──希望小売価格1億円で。
同社によると、売上の全額が、今後の宇宙開発事業に寄付される予定とのこと。
現在の進捗状況、醸造の仕組みは
旭酒造は既に、三菱重工業株式会社や愛知県産業科学技術総合センターの協力のもと、醸造装置の開発と打ち上げ準備を進行中。
2024年7月にはJAXAから「きぼう」有償利用制度の承認を受けており、2025年後半の打ち上げを目指しているという。
まず目指すは、月面(地球の約1/6)の重力下における日本酒造りの成功。
醸造実現に向けた第一歩として、「きぼう」内部で1/6の重力を再現した環境下での試験が実施される。
「きぼう」日本実験棟にある細胞培養追加実験エリア(CBEF-L)にて、人工重力発生機へ醸造装置を設置して行われる予定だ。無事に進めば、世界で初めて宇宙空間で「並行複発酵現象」が確認されることとなる。
微小重力環境下での発酵は、地上とは異なる影響を及ぼす可能性がある。例えば、ビールの醸造において、微小重力環境は発酵を加速し、不要なエステルの生成を減少させ、品質向上につながるとする研究結果がある。
このような研究は、宇宙での食料生産や医薬品製造など、多岐にわたる応用が期待されている。
旭酒造の宇宙での日本酒醸造挑戦は、月面での酒造りという壮大な目標への第一歩である。この試みは、宇宙空間での発酵技術の確立だけでなく、将来の宇宙移住時の生活文化の発展にも寄与することが期待される。
微小重力環境下での発酵は、地上とは異なる影響を及ぼす可能性がある。
例えば、ビールの醸造において、微小重力環境は発酵を加速し、不要なエステルの生成を減少させ、品質向上につながるとする研究結果も。
今回のような研究は、宇宙での食料生産や医薬品製造など、多岐にわたる応用が期待できるのだ。
旭酒造の宇宙での日本酒醸造挑戦は、月面での酒造りという壮大な目標への第一歩。宇宙生活を夢見るどころか、時代は移住時の生活文化の発展にまで発展してきているようだ。