Z世代はプロポーズ時のサプライズに批判的?「静かなプロポーズ(Quiet Proposing)」が主流に

片方のパートナーがもう一方に内緒で指輪を用意し、派手な演出で驚かせる。そんな映画のようなプロポーズは、もはや過去のものになるのかもしれない。

Z世代のカップルの間では、婚約を二人で話し合って決める「クワイエットプロポージング(静かなプロポーズ)」という新しいトレンドが広がりつつある。

婚約指輪は二人で選ぶのが当たり前に

Diamonds Factory社の調査によれば、2025年には婚約指輪を購入する人の半数以上が、パートナーと一緒に店を訪れているという。

これは、婚約という人生の大きな節目を、一方的なサプライズではなく、二人の共同の意思決定と捉える価値観の変化の表れ。

実際にこのスタイルを選んだあるZ世代の女性は、「結婚したいという意思はすでに共有していた。だから、指輪のデザインや購入先について二人で話し合い、私が欲しいものを彼に伝えた」と語る。彼女は、このプロセスが二人の平等な関係性を反映していると感じているようだ。

SNS向けの「ショー」への警戒感

スタートアップCEOのMicaela Beltran氏は、Z世代がサイレント・プロポージングを好む理由について「実用的で、透明で、ショーではなく自分たちにとって何が重要かに焦点を当てたいから」と説明する。

SNS向けに演出された、いかにも「作られた」瞬間に警戒感を抱く。また、経済的な不確実性を抱える彼らにとって、派手な演出に大金を投じることは現実的ではないと感じるものなのだろう。

結婚生活の始まりを、見せかけではなく、現実的な共同作業として捉える。この姿勢が、クワイエットプロポージングという形となって現れている。

伝統より対話を重んじる世代の成熟

心理学の専門家Leah Levi氏は、このトレンドをZ世代の「成熟の証」と見る。

彼らは、愛を証明するために大切なのはド派手な演出ではなく、お互いへの信頼と誠実さという真理を見据えているようだ。時代遅れのパターンに批判的で、ソーシャルメディアと共に育った彼らが、見せかけよりも本質的な繋がりを求めるのは自然な流れだと言える。

「静かなプロポーズは、恋愛は他人のためのパフォーマンスではない、という認識の表明だ」。Levi氏のこの言葉は、クワイエットプロポージングの本質を的確に捉えているだろう。

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