麺をすすりながら踊る?インドのZ世代が熱狂する“フードレイブ”とは

DJがプレイする音楽とネオンライトが交錯する空間で、人々が熱狂的に麺をすする。あるいは、白いドレスコードで統一された参加者たちが、ビートに合わせて抹茶を味わう──

インドのムンバイで、Z世代を中心に「フードレイブ」と呼ばれる、食と音楽、そして参加型体験が融合した新たなイベントが急速に広がりを見せている。

インドのライフスタイルメディア『EDtimes』の記事を基に、その実態を探ってみよう。

凝縮された熱気と没入感。
インドで広がる『フードレイブ』とは

フードレイブとは、レイブの持つコンパクトで高エネルギーな要素と、フードフェスティバルの感覚的な喜びを融合させたもの。

これは従来のフードフェスティバルとは一線を画しており、広大な会場に屋台が点在する形式ではなく、音楽、食事、交流のすべてが一つのコンパクトな空間に凝縮されているのが特徴だ。

参加者は受動的に食事を楽しむのではなく、ライブクッキングやテーマに沿ったドレスコード、写真撮影を前提とした演出などを通じて、イベントを構成する一員となる。

そこにあるのは、洗練された美食体験というより、むしろナイトマーケットのような活気と混沌。人々は食べ、踊り、その瞬間を記録し、共有することに熱中するという。

「体験と共有」を求めるZ世代の価値観が反映

この新しい形式がZ世代の心を掴んで離さない背景には、彼ら特有の価値観があるようだ。

食事を単なる栄養摂取ではなく、自己表現やコミュニケーションの手段と捉える彼らにとって、フードレイブは極めて効率的に多くの価値を提供する。

短い時間の中で、食の好みや音楽のセンス、交友関係を一度に発信できるだけでなく、その体験を手軽にSNSで共有できるからだ。

限定的でありながら誰もが参加できるという絶妙なバランスも、彼らの好奇心を刺激する要素となっている。

ブランドにとっても新たな実験場に

このトレンドは、参加者だけでなく、主催する飲食店やブランドにとっても大きな意味を持つ。

フードレイブは、新メニューのアイデアや価格戦略、そしてコミュニティ醸成のためのリアルタイムな実験場として機能するという。

イベントの熱狂を通じて、どのフレーバーが共感を呼び、どのような見せ方が人々の足を運ばせるのかを、即座に検証できるからだ。

『EDtimes』は、この食とナイトライフの融合が、単なる一過性の流行ではなく、飲食業界の未来を占う試金石になるかもしれないと分析している。

Top image: © iStock.com / suney munintrangkul
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。