GLP-1で痩せた人が次に向かう「身体の仕上げ」という新潮流

ニューヨーク州のレーザー脱毛クリニック「Laser by Aleya」が、GLP-1受容体作動薬で大幅に痩せたクライアントからの相談急増を報告しています。痩せた「その先」に広がる、身体との新しい向き合い方とは——。

痩せた後に気づく身体の変化

近年、オゼンピックやウゴービといったGLP-1受容体作動薬——もともと糖尿病治療薬として開発され、食欲抑制効果から減量目的でも広く使われるようになった注射薬——の普及が、世界的に大きな話題を呼んでいます。

体重が大きく減ること自体はもちろんポジティブな変化ですが、その後に起きる「身体の見え方の変化」に戸惑う人が少なくないようです。同クリニックの創業者兼CEOであるAleya Bamdad氏は、体組成や皮膚のテクスチャーが変わることで、以前は気にならなかった部位——たとえば太ももや腹部、上腕など——の体毛が急に目立つようになるケースが増えていると指摘しています。

体重減少そのものが毛の成長パターンを変えるわけではないとのこと。しかし、皮膚の付き方が変わり、身体のシルエットが変化すると、自分の身体を見つめる「解像度」が上がる。これは感覚的にも納得できる話ではないでしょうか。ダイエットに成功した後、鏡の前で以前とは違う視点で自分を観察するようになった経験は、多くの方に心当たりがあるかもしれません。

「Faux-zempic」が映す美容の波及効果

興味深いのは、この現象を表現するために「Faux-zempic(フォーゼンピック)」というオンライン発の造語が生まれていることです。「Faux(偽の)」と「Ozempic(オゼンピック)」を掛け合わせたこの言葉は、GLP-1薬がもたらす直接的な体重減少だけでなく、その周辺で広がる美容意識の変化全体を指しています。

実際、GLP-1薬の市場拡大に伴い、美容医療やスキンケア、ボディケア領域で新たな需要が生まれつつあるという声は、業界のさまざまな場面で聞かれるようになりました。痩せた後の皮膚のたるみケアや、変化した体型に合わせたファッションの見直しなど、「ポスト減量」のニーズは多岐にわたります。脱毛施術もその一つとして浮上しているわけです。

「完成させる」という新しい動機

Bamdad氏の言葉で印象的なのは、来院するクライアントの動機の質が変わっているという観察です。同氏はこう述べています。「1年前とはまったく異なる身体との関係性を持つクライアントが来院している。彼らはより敏感で、より意図的であり、自分がどう見せたいかに合った施術を求めている」。

つまり、単に「ムダ毛を処理したい」という機能的な目的ではなく、数カ月から数年にわたる減量の旅を経て変容した身体を「完成させたい」という、より包括的な意識が背景にあるということです。同氏はこれを「すでに始めた変容の絵を完成させること」と表現しています。

この視点は、従来の「ビフォー・アフター」で完結する減量の物語とは明らかに異なります。痩せることがゴールではなく、変化した身体の中で「どう見えたいか、どう感じたいか」を能動的に選び取っていくプロセスの入口になっている。こうした意識の変化は、GLP-1薬の普及がもたらした、ある種の副産物と言えるのかもしれません。

身体との対話は続いていく

大幅な体重変化を経た皮膚には、肌トーンの変化や感度の上昇といった特有の状態があり、施術には個別対応が欠かせないと同クリニックは説明しています。画一的なアプローチではなく、一人ひとりの身体の履歴に寄り添ったケアが求められる時代になりつつあるようです。

「痩せたら終わり」ではなく、「痩せてからが始まり」。そんな身体観の転換が、いまニューヨークの美容シーンで静かに進んでいます。GLP-1薬の波が美容産業にどこまで広がるのか、今後も注目していきたいところです。自分の身体を主体的にデザインしていくという感覚は、遠からず日本にも届くのではないでしょうか。

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