災害医療ボードゲーム『uncri!!』が国際アワードで快挙
スピカデザインが開発に携わる災害医療ボードゲーム『uncri!!(アンクラ!!)』が、社会的インパクトを持つゲームを評価する国際アワード「Games for Change Awards 2026」のファイナリストに選出されました。
「遊び」が防災教育を変える
防災や災害医療の学びといえば、多くの方が思い浮かべるのは座学の講習や大規模な訓練ではないでしょうか。もちろんそれらは重要ですが、「自分ごと」として危機下の判断を体感する機会は、専門家以外にはなかなか開かれていません。
『uncri!!』は、まさにその壁を「ボードゲーム」という形式で越えようとする作品です。プレイヤーは限られた情報・時間・資源のなかで次々と発生する状況に対応し、チームで優先順位を話し合いながら判断を重ねていきます。
同作の開発にあたっては、国立健康危機管理研究機構 DMAT事務局の若井聡智氏をはじめとする専門家が監修を担当。パブリッシャーはバーズ・ビュー株式会社が務めています。エンターテインメントと医療・防災の専門知が融合した、いわば「遊べる研修教材」とも呼べる設計が特徴的です。
日本人初のファイナリスト選出
Games for Change Awards(G4C Awards)は、教育・医療・環境など社会課題の解決に貢献するゲームやインタラクティブ作品を表彰する国際的なアワード。今回『uncri!!』が選出された「Best Board or Tabletop Game for Impact」部門は、ボードゲームならではの体験を通じて社会的インパクトや教育的価値を生み出す作品を対象としています。
同部門で日本人による作品がファイナリストに選ばれたのは、今回が初めてとのこと。開発元のスピカデザインは埼玉県朝霞市を拠点とする個人事業であり、大手スタジオではない作り手が国際舞台に立ったという事実も注目に値します。
代表の大下修央氏は「災害医療や危機対応という重いテーマを、ボードゲームだからこそ体験し、対話し、学べる形にすることを目指してきた」とコメントしています。
アナログだからこそ届く学び
近年、社会課題をゲームで学ぶ「シリアスゲーム」への関心は世界的に高まっています。デジタルゲームが注目されがちな領域ですが、ボードゲームには対面ならではの強みがあるのではないでしょうか。
画面越しではなく、同じテーブルを囲んで迷い、議論し、合意を形成するプロセスそのものが、災害時のコミュニケーション訓練と重なります。知識を「覚える」のではなく、判断の葛藤を「体験する」——そのアプローチが国際的に評価されたことは、日本の防災文化が新しい形で世界に届き始めている証しかもしれません。
Games for Change Festival 2026は、2026年7月21日・22日にアメリカ・ニューヨークで開催予定。『uncri!!』はファイナリスト作品として現地で紹介される予定です。
地震大国で培われた災害対応の知見が、「遊び」というフォーマットに乗って海を渡る。その行方を、ぜひ見守りたいと思います。






