「写ルンです」40周年の新境地。水深10mと黒白の世界へ

富士フイルムが、2026年7月に発売40周年を迎える「写ルンです」の記念モデルとして、防水タイプと黒白フィルムタイプの2製品を発表しました。水深10mに潜り、モノクロームの世界を描く──累計17億本の先に見えた新しい立ち位置とは。

「濡れたら終わり」を水深10mへ

「写ルンです Active」で撮影した水中セルフィー・水しぶき・山道の作例3点と、湖で本体を構える使用シーンの写真
© 富士フイルム株式会社

新モデルのひとつ「写ルンです Active」は、2026年8月上旬に発売予定の防水モデルです。本体をプラスチックで覆う構造で、水深10mまでの撮影に対応しています。

海やプール、雪山、キャンプ。これまで「濡れたら終わり」だったフィルムカメラを、あえて水の中に持ち込めるようにした判断がおもしろい。フィルム巻き取りノブは通常モデルより大きく設計され、シャッターボタンもレバー型に変更されています。手袋をしたままでも、水中でも押しやすいように、という配慮です。専用のハンドストラップも付属するとのこと。

スマートフォンの防水性能が当たり前になった時代に、なぜわざわざフィルムカメラを水中に持ち込むのか。たぶんそれは、「撮れているかどうかわからない」まま海から上がる、あのドキドキに価値があるからではないでしょうか。現像するまで結果がわからないという写ルンですの本質的な魅力が、水中という不確実な環境と出会うことで、むしろ増幅される設計になっています。

暗室いらずのモノクローム

「写ルンです Black and White」のパッケージ箱と本体を並べた製品写真。黒いボディに緑のラインが入ったデザイン
© 富士フイルム株式会社
写ルンです専用ハンドストラップを手首に通し、写ルンです本体をぶら下げている使用イメージ写真
© 富士フイルム株式会社

もうひとつの新製品「写ルンです Black and White」は、2026年9月以降の発売予定。シャープで粒状感の滑らかな黒白フィルムを搭載し、特別な知識や設定なしにモノクローム写真が撮れます。

ここで注目したいのは、現像のハードルを意識的に下げている点です。一般的に黒白フィルムは専用の現像液が必要で、対応できる写真店が限られるという課題がありました。しかしこのモデルは、カラーネガフィルムと同じ現像処理(C-41方式)に対応しています。つまり、通常の写ルンですを持ち込めるお店でそのまま現像を頼める。スマートフォン専用アプリ「写ルンです+」からの注文にも対応するそうです。

黒白写真というと、暗室で薬品を扱うような「玄人の世界」を想像する人もいるかもしれません。その敷居をフィルム1本ぶんの気軽さまで下げてきたのは、写ルンですならではの発想だと感じます。

代替品が表現の道具になるまで

写ルンです40周年ロゴ。「40 Years Since 1986」の文字がフィルムカメラのシルエットで描かれている
© 富士フイルム株式会社

1986年に「世界初のレンズ付フィルム」として登場した写ルンですは、もともと旅行先でカメラを忘れたときの代替品でした。「使い捨てカメラ」という呼び名が、その立ち位置をよく表しています。

それが40年を経て、防水ボディとモノクロフィルムを纏った「表現の道具」として再定義されようとしている。富士フイルムの発表によれば、現在の写ルンですは「現像するまで仕上がりがわからないワクワク感」や「雰囲気ある写真の質感」が若年層を中心に支持されているといいます。

AIが自動で写真を補正してくれる2026年に、「撮れているかわからない」「色すらない」写真に惹かれる感覚──それは私たちが無意識に手放してしまった何かを、取り戻そうとしているサインなのかもしれません。

新製品情報

・写ルンです Active™……2026年8月上旬発売予定/水深10m防水/専用ハンドストラップ付属
・写ルンです Black and White™……2026年9月以降発売予定/黒白フィルム搭載/カラーネガと同じ現像処理に対応
・写ルンです™ Hand Strap……同時発売/キーホルダー等でカスタマイズ可能

Top image: © 富士フイルム株式会社
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。