竹27トンで建てた「竹の家」誕生。竹建材で放置竹林問題に挑む
千葉県船橋市に、ちょっと信じがたい建物が完成しました。柱も壁も、使われた竹の総重量は27トン。3階建て。手がけたのは、1963年創業の竹箸メーカー・アステップです。
竹が余るのは「使い道」が足りないから
63年目の答え


日本各地で問題になっている放置竹林。管理する人がいなくなった竹林は、周囲の森や農地にどんどん侵入し、生態系や景観を壊していきます。
一度伐採しても、竹は驚くほどの速さで再び伸びてくる。だから「切って終わり」では根本的な解決にならないんですよね。
アステップが63年間、竹と向き合い続けてたどり着いた答えは明快でした。「竹が余るのは、竹の使い道が足りないからだ」。
竹箸やホテル向けアメニティで全国約6,000施設に製品を届けてきた同社は、近年、家具、インテリア、さらには乾燥メンマや竹炭、竹パウダーへと用途を広げてきました。製品をつくる過程で出る端材はオガ炭に、間引きした若竹はメンマに。捨てるところがない循環を、少しずつ組み上げてきたわけです。
そして今回、その「出口づくり」の最大の一手が、竹で家を建てることでした。
竹ざるの素材が、建物の壁になる

完成した「TAKE TORI HOUSE(タケトリハウス)」は、竹建材の使用面積1,000㎡、3階建てのショールーム兼実証施設です。
竹の集成材で仕上げられた壁や床を、実際に見て、触れて、空間として体感できる場所。建築関係者やホテル・旅館だけでなく、新築やリフォームを考えている一般の人も対象にしています。
私たちにとって竹といえば、竹ざるや竹箸、せいぜい竹垣あたりの印象ではないでしょうか。「建物の構造材」としてはまず思い浮かばない。
でも竹は、成長が極めて早く、適切に管理すれば繰り返し収穫できる再生可能な資源です。中東情勢などを背景にプラスチック原料であるナフサ(石油から精製される化学原料)の供給不安が高まるなか、石油由来素材を補う選択肢としても注目が集まっています。
同社は大学や建築関係者と連携し、屋外での耐候性試験なども重ねて竹建材の実用性を検証中。さらに製品のライフサイクル全体でどれだけ温室効果ガスが出るかを示すカーボンフットプリントの算定も進めています。
竹箸の会社が「家」という出口をつくった

アステップ自身、この施設を「完成形ではなく出発点」と位置づけています。
ホテル、住宅、オフィス、公共施設──竹が当たり前に使われる風景は、まだ想像しにくいかもしれません。けれど、60年以上かけて竹の「出口」を一つずつ増やしてきた会社が、ついに「家そのもの」という最大の出口をつくった事実は、なかなか重いものがあります。
竹箸を手に取るとき、その先に家一軒分の未来が続いているなんて、ちょっと想像してみたくなりませんか。
TAKE TORI HOUSE(タケトリハウス)
【所在地】千葉県船橋市南三咲4-17-10
【公式サイト】https://1963astep.com/taketorihouse/






