若者たちの「酒離れ」は終わり?データで見えた“量より質”の飲酒スタイル
「Z世代はお酒を飲まない」——ここ数年、そんな話をどこかで見聞きした人は多いはずです。
でも、もしその前提がそもそも間違っていたとしたら? 2026年に公開された複数の国際調査が、私たちの思い込みを静かにひっくり返しています。
飲酒率74%、
成人全体とほぼ変わらない
国際ワイン・スピリッツ・リサーチ(IWSR)が15の主要市場、3万2000人超を対象に行った調査によると、法定飲酒年齢以上のZ世代の飲酒率は74%。成人全体の76%とほぼ同じ水準です。
3年前は66%だったので、約8ポイントの上昇。しかも、ベビーブーマー世代の飲酒率は71%に下がり、全世代で最低になっています。
「Business Insider」が報じたこの調査結果は、「Z世代は酒をやめたのではなく、飲み始めるのが遅かっただけ」という見方を裏づけるものでした。
背景にはパンデミックがあります。社会に出るタイミングがずれた世代は、飲酒という社交行為への参入も遅れた。インフレも重なり、「飲まない」のではなく「まだ飲んでいなかった」だけだったのです。
「参加するけど、
自分のルールで」という飲み方
ただし、飲酒率が上がったからといって、上の世代と同じ飲み方をしているわけではありません。
米国の調査会社Attest社が21〜27歳の800人を対象に行った調査では、「まったく飲まない」と答えた人が前年の17%から24%に増加。毎日飲む人は6%からわずか2%に減りました。
飲む人は増えたのに、飲む頻度は下がっている。一見矛盾するこの数字が示しているのは、「習慣として飲む」から「選んで飲む」への移行です。
低アルコールのスプリッツァーや、デザートのようなカクテル、一口サイズの少量カクテルなど、体験の質を重視するスタイルが広がっています。
米国労働統計局のデータでは、30歳未満世帯の酒類支出は所得の約0.74%。10年前の同年齢のミレニアル世代(約1.1%)と比べて3分の1ほど少ない。お金のかけ方にも「量より意味」の姿勢がにじみます。
「○○離れ」の向こう側に
見えるもの
日本でも「若者の○○離れ」という言い方はおなじみです。車離れ、テレビ離れ、ビール離れ——。
でも今回のデータが教えてくれるのは、「離れた」のではなく「関わり方が変わった」という可能性です。
参加はする。でも、誰かに合わせるためではなく、自分が心地いいと思える量とタイミングで。この感覚は、お酒に限った話ではないでしょう。
「○○離れ」と名づけた瞬間、私たちは変化の中身を見なくなります。数字の裏にある「なぜ」を読み解くことが、世代を超えた対話の第一歩になるのかもしれません。






