【怪奇現象】謎のミツバチ大量失踪。その原因は意外なものだった・・・
キミは「蜂群崩壊症候群」を
知っているか?
ある日突然、養蜂業者で飼っていたミツバチが消滅するという奇妙な事件が頻発している。多いときでは巣箱の90%にも及ぶ大量の蜂が、突如として姿を消す・・・。巣箱に残されたのは女王蜂と幼虫だけ。餌の届かない幼虫たち、やがて飢えに教われコロニー全体が崩壊する・・・。
まるで童話『ハメルンの笛吹き』を連想させる、摩訶不思議なこの現象が「蜂群崩壊症候群」の正体で、世界中の養蜂業者が頭を抱える問題となっている。
原因不明の奇怪な現象がついに、最新の研究によって暴かれようとしている。
どうやら原因は、
農薬による寄生キノコの蔓延
外を飛び回っているミツバチは、花粉を集めて巣に持ち帰る「働き蜂」。研究では、花粉が農薬で汚染されている場合、「Nosema ceranae」という寄生キノコに感染している個体が多いことが判明した。
農薬の作用によって抵抗力が落ちてしまった蜂にこのキノコが寄生、蜂の帰巣本能を狂わせて巣に戻れなくしている可能性が指摘されている。
しかし、農薬の特定は難航中
農薬が発生源であることはおそらく確かであるものの、どの農薬が問題なのかは未だ特定仕切れていない。日本の研究チームはネオニコチノイド系農薬の疑いを指摘し、ヨーロッパで使用禁止とされたのだが、残念ながら劇的な回復には至っていない。
世界的な食料供給に影響も?
蜂が減ることで大きな打撃を受けるのは養蜂業者だけにあらず。もうひとつ重要な影響、それは植物の受粉。穀物や野菜、ナッツの中には、蜂が運ぶ花粉を頼りに受粉を行い、増えるものが数多くある。
蜂が極端に減少してしまうことは、食糧供給にも多大な影響を及ぼす可能性が・・・。経済的な損失はアメリカだけで約12億円にもなると言われている。
自然はさまざまな要素が複雑に絡み合い、絶妙なバランスの上に成り立っている。その均衡を取り戻すことが先決なのかもしれない。
Reference:PLOS ONE