旅先で集めた、世界のおいしいみやげ料理【魚介類編】

聡明な女性はいつの時代も家事を合理的に再編成し、台所を賢く支配するーー。そんな切り口で1976年に刊行されたベストセラー『聡明な女は料理がうまい』より、世界の旅先で集めた「魚介類」のみやげ料理を紹介しましょう。もちろん、自分なりにアレンジしてもOK!下記のレシピを参考にしてみてくださいね。

ポルトガル
「いかの煮込み」

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ポルトガルではなぜか干しだらをもどして使う料理がさかんだが、私はせっかく海洋国に来たからには新鮮な魚介を食べたい。潮くさい漁師町の宿で出されたlulas de caldeiradaといういかの煮込みはとてもおもしろかった。

recipe/いか2〜3ばいの内臓を除き、一口ぐらいの大きさに切って洗っておく。厚鍋にオリーブ油をたっぷりと熱し、玉ねぎ2個ぐらいのザク切りをやわらかくなるまで炒めたところへ、いかとポルト酒それぞれ大さじ1杯、おろししょうが小さじ1/2杯、刻みトマト2〜3個分、ベイリーフ1枚、塩少々、白ワイン1カップを加え、ふたをして弱火でコトコトと煮る。1時間ほどしたところで、薄切りのじゃがいもとピーマンを加え、少し水を足し、塩で味をととのえてじゃがいもがやわらかくなるまで20分ほど煮る。

トルコ
「魚の串焼き」

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トルコからは、イスタンブールの丘の妖しい夕暮れをながめながら食べた魚の串焼き。キリクシステとかいう名前だった。

recipe/オリーブ油とレモンの絞り汁を半々に合わせ、玉ねぎの汁も少々加え、パプリカと塩をそれぞれ少量振り込んだ中に、ひらめか何か白身の魚の一口切りを、ベイリーフと重ね合わせるようにして6〜7時間つけ込んでおく。それをレモンやトマトのスライスと交互に金串に刺して炭火にかざし、途中いくどかハケでつけ汁をまぶしつけてはひっくり返してゆっくりと焼く。焼き上がったら、レモン汁2、オリーブ油1の割合で合わせ、にんにくをすりおろし、刻みパセリをまぜたドレッシングをつけて食べる。

ユーゴスラビア
「さばのマリネード」

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アドリア海のあまりにも明るい蒼さに心をひたしていると、魚に化身したような気持ちになる。それで共食いを避けているわけでもあるまいに、毎日毎日食卓に出てくるものは肉やじゃがいもばかりなのである。ついにたまりかねた私は、宿の主人に「せっかく海辺に何日も泊まっているんですもの。この海の魚を食べさせてちょうだいよ」と強く申し入れ、ついにユーゴスラビアで初めて魚料理との対面を果たすことになった、待ちに待ったその魚がさばだと聞いて、いささかガッカリしたが、食べてみるとふだん食べ慣れたさばとはまるで感じの違うしゃれた味である。

recipe/Skuše Mariniraneというこのさばのマリネードは、オリーブ油1カップ弱、水1.5カップ、玉ねぎ1個の薄切り、にんにく数片、ベイリーフ2枚、粒こしょう小さじ1杯、皮ごと刻んだレモン1個、塩小さじ1杯を全部いっしょにして30〜40分間煮立てる。さば1尾のワタをとって洗い、塩をまぶし、なるべくなら炭火で丸ごとゆっくりと焼き、中までちゃんと火が通り、こんがりと全面まんべんなく焦げたら、さましておいた鍋の汁を注ぎかけ、そのまま二夜置いてから食べる。

ハワイ
「魚のたたき」

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ハワイの海に乗り出すと、私のようなドしろうとにも釣られてくれるのどかな魚がいて、豪勢な船上の宴が始まる。日本なら沖なますというところだが、ハワイでは生で食べるのをMakaという。

ハワイの魚の種類は忘れたが、新鮮なあじでハワイ式たたきを試みたら、イメージは裏切られなかった。

recipe/三枚におろして塩をしたあじを200グラムぐらいよく冷やしてから、塩を払い、小指の先ぐらいに刻み、わけぎかあさつきのみじん切り大さじ3杯、塩炒りクルミか、なければアーモンドを砕いたもの小さじ2杯、こんぶの糸切り大さじ3杯、氷水カップ1杯、塩大さじ2/3杯、タバスコソース数滴を加えてまぜ合わせ、サラダボールに盛る。あとは好みでレモン汁やしょうゆを振りかけてもよい。

タイ
「魚のだんごスープ」

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自然の流れに逆らわず、おだやかにのどかに暮らすタイ人の一生をそのままたどるような水上マーケットのツアーを終えて陸に上がると、こんどは、極楽とはまさにかくもあろうかと思われる王宮とエメラルド寺院の幻惑的に壮麗な光景が展開する。陶然として仏さまのような気分になった私にはバンコクの海鮮料理屋で味わったフンワリたおやかな魚だんごのスープ、Pla Tom Yamがとても舌に合った。

recipe/白身の魚のこま切れ2カップを、にんにく4〜5片、粒こしょう1つまみといっしょにすり鉢でつぶし、親指の先ほどの小さなだんごに丸める。干ししいたけ1つかみを水でもどし、一つを四つ割りぐらいにしておく。魚のアラを煮てよくアクをすくいながらだしをとり、このだしにしいたけをもどした水と酒大さじ2杯を加えて合計カップ5杯ほどのスープを鍋に煮立て、豚三枚肉の薄切り100グラム、豆腐1丁のさいの目切り、しいたけ、ゆでたけのこ小1本の薄切り、魚だんごを入れ、ふたをしてしばらく煮る。豚肉が煮え、魚だんごが浮き上がってきたら、フィッシュソース(といってもタイと同じものはないので秋田の魚汁〔しょっつる〕で代用)を小さじ2杯垂らし、青いねぎ数本を刻んで入れ、まもなく火を止める。最後に刻みパセリを散らす。

※書籍からの引用にあたり、表現を一部編集しています。
※料理写真はイメージです。


聡明な女は料理がうまい
コンテンツ提供元:アノニマ・スタジオ

桐島洋子/Yoko Kirishima

文藝春秋に勤務の後、フリーのジャーナリストとして海外各地を放浪。70年に『渚と澪と舵』で作家デビュー。72年『淋しいアメリカ人』で第3回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。以来、メディアの第一線で活躍するかたわら、独身のままかれん、ノエル、ローランドの3姉弟を育て上げる。ベストセラーとなった『聡明な女は料理がうまい』や、女性の自立と成長を促した『女ざかり』シリーズをはじめ、育児論、女性論、旅行記などで人気を集めた。

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