ヴィーガンフードクリエイター「iinaさん」の料理が、五感に刺さる。

菜食主義[さいしょくしゅぎ]
宗教上、道徳上、もしくは環境保護思想や健康上の理由により、植物性食品のみの食生活のこと。

ひとことで菜食主義やベジタリアンと言っても幅広く、乳製品や魚介ならOKというタイプから、かつお出汁やハチミツ、革製品を身につけることさえ拒むという厳格なヴィーガンもいる。ここでは「菜食料理家」としてワンアンドオンリーな活躍を見せるフードクリエーター、iinaさんに迫る。

例えば、この「担々麺」

この写真、コクのあるスープにパンチのある肉味噌、そしてピリ辛感がたまらない、そう、ご存知担々麺。

「男性的」とでもいうのだろうか。いわゆるがっつり系。頭ではわかっていても、これがヴィーガンでさえ食べられる植物性オンリーとは。信じがたいほど、あの担々麺だ。(この驚きが、写真と文字だけで伝わることを祈る)

まずはおいしいこと。
それはもうぜったい

普段は都内のスタジオで菜食クラスのレッスンや食事会の主宰をするほか、レシピ本3冊、さらに雑誌などでフードスタイリストとして活躍するiinaさんの料理は、すべて植物性のみ。

つまり肉も魚も乳製品も、さらには食品添加物や白砂糖も使わず、それでいて食べた人が唸るほどおいしい料理を作り出す。

「植物性の食材だけを使うという自分のルールの中で、どれほどおいしく作れるか。なによりもおいしいことが一番大切」

というiinaさん。

日頃からどのように「本物の味」を理解するか、どうやって「本物」を超えるおいしさを生み出すかを考えていると語る彼女の表情は、情熱や真面目さに加え、研究者の雰囲気すら感じさせた。

愚問かもしれないと思いつつも、それほどまでに植物性とおいしさにこだわる理由を聞いてみると「野菜が好きで、おいしいものが好きだからです」とのこと。洗練されたフードクリエイターの素顔は、女性でも惹かれずにはいられないほどチャーミングだ。

おいしさ、食感、見た目
の三拍子

そしてなんといっても、彼女の料理は再現性が高い。おいしさは当たり前でも、食感や見た目までもが再現されている。

みんな大好きエビ天

念のため書くと、これはエビ天ではなく、こんにゃくがベース。しかし見事なまでにエビの食感。

男子も喜ぶ
ガッツリ系の代名詞「カルビ丼」

こちらは、車麩をつかった「カルビ牛丼」MODOKI。

食後の別腹は
チョコブラウニー

クリームだって植物性のみ。もちろんブラウニーに卵も使用していない。

限られたルールの中で
最大限に可能性を高めるだけ

彼女の料理はどれも「作品」とも呼べそうなほどのクオリティだ。そして不思議なことに、食べていると一種のインスピレーションに近い感覚を受ける。それだけ作り手の思いが込められているということなのだろうか。

もうひとつ驚くことは、彼女の場合「試食を繰り返す」ことがほとんどない。本物をそれはそれは観察し、観察しまくってから頭の中でレシピを完成させ、大抵の場合は1回で思っていた通りの味を作り出す。

その時のルールは「植物性オンリー」という1点のみ。

「そのマイルールの範囲内で、最大限に自分の可能性を高めるだけ」と聞いたとき、当初に感じた研究者の気質に加え、アーティスト的な「魅せるセンス」が感じられた。

自分のハートに従って食べたいものを選び、
淡々と、素材のポテンシャルを高める「魅せる」料理をつくる。

自らの体を作る食べ物が、どんな食材であってほしいか。
そこを見つめ直すと見えてくる自分がいるかもしれない。
日々いろんなことがある社会の中で、今日の食事は自分を魅了するものだっただろうか。

iinaさんを見て、もしあなたがそんなふうに感じたのなら、明日はいつもと少し違う「食」を楽しんでみてはどうだろう。

Licensed material used with permission by iina_veganfoodcreator
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。