睡眠を1時間増やすと、給与が16%アップする?(米経済学者)
睡眠時間を割いてまで必死になって働いても、給与には反映してこない。そればかりか逆効果だって!?それを証明するような研究があります。
シンプルに言えば、睡眠時間を1時間増やすだけで、実質手にできる給与は16%増しになるんだとか。この眠りの長さとサラリーの因果関係。カラクリは単純。あとは実践できるかどうかです。
寝不足は酩酊状態と同じ
鋭さに欠け、注意力も散漫
まずは、この前段階からいきましょう。
「睡眠不足は仕事の生産性を著しく低下させる」。これは疑う予知もないはずです。眠いと効率が悪くなるから?それだけではありません。どうやら、不要なリスクをとってしまうことが原因。米ボストン病院、睡眠医学の専門家Charles Czeisler教授は、じつに分かりやすい表現で、睡眠不足状態を例えています。
「酔っ払っている状態とまさに同じ。つまりは“鋭さ”が欠けるんですよ」
一晩、まるまる徹夜した時だけではなく、日々睡眠時間が削られ寝不足が慢性化していくと、神経行動学的な性能、つまりは感覚や精神面での強さが欠落する。ゆえに、注意力も散漫になるという訳です。
睡眠こそ、給与アップへの近道
では、本題に入りましょう。
睡眠と給与の相関関係を、初めて数値化した経済学者がいます。カリフォルニア大学サンディエゴ校経済学部の研究者Matthew Gibson博士とJeffrey Shrader博士。「The Wall Street Journal」によれば、彼らは、米国勢調査局が収集したビッグデータを元に、時間の使い方に関する実態調査を用いて、睡眠時間と賃金データを徹底分析。導き出された数値から、睡眠不足がもたらす影響について、こう結論づけました。
「睡眠時間が1時間増えれば、給与に換算して約16%アップが見込まれます。毎日もう1時間、この積み重ねは学校教育でいうところの1年分以上に相当することが判明しました」
俗に言う理想的な睡眠時間が8時間。これを忠実に守れる現代人が、はたしてどれだけいる?かは疑問ですが…。算出したデータの概数からは、実際に5時間またはそれ以下の睡眠時間で、生産性を飛躍的に向上したケースは、「ほぼゼロに近かった」と前述の睡眠医学士 Czeisler教授も述べています。
さらに研究から、たとえ寝不足で頭の回転が鈍くても、会議に参加したり、レポートに目を通したり、通常業務を行うことは可能なことが判明しました。ただし、物事の本質をついたり、問題を見抜く千里眼を発揮できるかと言えば…もうお分かりですね。感覚が鈍る、不注意が増える、こうしたところに落とし穴が潜んでいるとGibson博士。
しっかり睡眠時間をとって
自分をコントロールする
人間、疲れているときはどうしたって、革新的なアイデアや創造性を発揮することはできません。新しい情報へと自分の脳を適応させることも、それを学ぼうとすることだって困難になります。現状に留まるだけで、曖昧な判断基準しか持てなくなる。やがて、“理想の自分”と現実とのギャップに悩み、気分も乱高下。ひいては同僚と調和することさえ難しくなっていく。
この負のスパイラルこそが、自身のポテンシャルと給与を下げてしまう最大の要因なのです。
つまり、その真逆を実践することが勝利のカギ。睡眠を1時間でも多くとることで、肉体的にも精神的にも最大限のパフォーマンスを発揮するように、睡眠で自らをコントロールしていく。これが給与アップを目指す近道だ、とキャリアサポートサイト「AOL Jobs」は、真夜中12時にベッドに就く必要性を説いています。
要するに、どれだけしっかり寝ることができるか?そこが勝負ですね。でも、さすがに8時間は…。