「ぬいぐるみを手術」して、子どもを元気づける小児科医の思いやり

ウィスコンシン州にある小児医院「Children's Hospital of Wisconsin」のSNSに投稿された画像に、コメントが殺到しました。写っていたのは、ぬいぐるみの手術をする医師の姿でした。

小児科の外科医であるグロス医師は、ある少年の手術のときに、彼の親友だったぬいぐるみのほころびに対しても、同じように処置を行いました。これは、彼を安心させるために行ったことでした。

「Children's Hospital of Wisconsin」によれば、手術を受ける子どもは、親友のような存在であるぬいぐるみが、自分と同じように手術を受けることで安心するそうです。それは、家族にとっても心の支えになっていました。

投稿を見た人々から、過去に同じ病院で同じような体験をしたというコメントが、画像とともに次々と集まってきたのです。

「わたしの家族も、この病院でいくつか素晴らしい体験をしました。息子は未熟児で、新生児特定集中治療室(NICU)に数週間入っていました。目の手術もいくつか行わなければなりませんでした。スタッフは親切で素晴らしい人ばかり。過密なスケジュールを何人もの医師と連絡を取り合い調整してくれた上に、子どもにもわかるように病状の説明をしてくれました。写真は、娘が足を骨折したときのもの。病院につくと、足に包帯を巻いているぬいぐるみがいました。たぶん、この病院で同じような体験をした人は、何人もいるのではないでしょうか。いつだって、家族や子どもたちの不安を解消するために、一歩先まで手助けをしてくれるのです」。

「娘は、5歳のときに初めての蝸牛殻移植手術をしました。とても恐がっていました。術後になって、大好きな猫のぬいぐるみと再会すると、娘と同じ場所に包帯が巻かれていました。わたしたちは、この包帯がとれるまでは、あなたも我慢しなければいけないと伝えることもできました。娘も家族も、少しだけ気が楽になりました。とても感謝しています!」。

「息子が手術するとき、ゾウのぬいぐるみの背中が少し破れてしまっていました。彼は、医師たちが親友を手術して治してくれることを知っていて、信じていました。看護士は、息子が手術する日に、彼と一緒にぬいぐるみを手術室へ連れていきました。写真は、術後に目覚めた彼が、親友と再会したところ。背中の傷は縫合され、包帯が当てられていました。なんと感謝したらいいのか、わかりません」。

投稿された画像をきっかけにして、10年以上前の出来事を思い出した親もいました。

術後に目を覚ました子どもは、ぬいぐるみを見てとても幸せそうな表情を浮かべるそうです。それぞれの医師が独自に判断して対応しており、グロス医師にとっても日常的なことだとか。

「珍しいことではありません。見かければ、できる限り手術しています。テディベアだったり、ウサギだったり、いろいろありますが、みんな愛されている存在です」。

この病院では、“100%子どもになれ”という考え方が大切にされているそうです。それは、患者と接する際に、相手を小さな大人だと捉えず、成長する過程にある子どもであることを認識し、その気持ちになって考え、ニーズを汲み取れるように努めるということ。ルールではないため、判断はそれぞれのスタッフに委ねられています。

同病院のエヴァン広報担当は、病院側にとっても想定外の反響だったことを振り返り、小さなことがどれだけ大事かを思い知る出来事だったと話しました。

Licensed material used with permission by Children's Hospital of Wisconsin
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。