無駄なネットサーフィンが誰かの家を温めるかも。ストックホルムの挑戦
ふとした瞬間でも、なんとなくスマホを手に取り、SNSやネットサーフィンをしてしまうもの。そして、このインターネットのデータを管理するサーバは、大きな熱量を発しているのです。一説では、データセンターは航空業界と同じくらいのエネルギーを消費している、とも。
そんななか「この熱を、家庭の暖房に使うことはできないか?」というアイデアを実現すべく動いているのが、スウェーデンの首都、ストックホルム。
サーバの熱は冷やさず
エネルギーへ
発生した莫大な熱量を冷却するため、さらに大量のエネルギーが消費されていますが、この取り組みではその熱量を冷やすことなく、地域の個人宅の暖房システムへと還元しよう、というのです。地域の電力会社へ売却することで冷却にかかるエネルギーを削減し、収入を得る仕組みなのです。
これにより、これまで冷却するために使っていたエネルギーを節約できるので、CO2の排出量も大きく削減。
このデーターセンターでは、他の再生可能エネルギーを使用しているセンターと比べ、10MWの熱量に対して、約8,000トンものCo2を削減できていました(ちなみに、10MWは、一般的なアパート約2万軒の1年分に相当)。
電気代は
EUのどの国よりも安く
この取り組みの結果、スウェーデンの電気料金はEUの他のどの国よりも安くなります。さらに、データセンターは熱量を放出するだけなので、冷却にかかる電気代は無料。まさにウィンウィンの関係なのです。
なぜ、取り組みが成功したのか
ストックホルムでこのプロジェクトが成功したもっとも大きな理由は、街に張り巡らされた地域熱供給システムにありました。そのため、データセンターで発生した余剰熱をお湯として貯めておき、暖房に再利用する、という方法が取れたのです。
ちなみにストックホルムは、2040年までにデータセンターの熱量をすべて家庭の暖房に流用したいと考えているそう。
Licensed material used with permission by Stockholm Data Parks