ちょっと寂しげで、ちょっとホッとする。Yota Yoshidaが撮る「東京」
“つくり込まれた” 写真を目にする機会が増えました。もちろん、それも美しいしおもしろいけど、実際の風景や空気感とはかけ離れていることも、しばしば。
東京在住のフォトグラファー、Yota Yoshidaさんの「From Somewhere, To Elsewhere」は、都市郊外の日常を切り取ったシリーズ。普段は目に留めないような、それこそ写真で抑えようとも思わないような風景かもしれませんが、どこか寂しげで、思わず見入ってしまいました。
海外の人からすると、東京はきらびやかなイメージが強いのかもしれません。でもYotaさんの写真から見えてくるのは、生々しい孤独や思わず口角が緩んでしまいそうな愛すべき瞬間。そして、これらの作品は「Vice」のCreators Projectや、「南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeitung)」などでも紹介され、海外メディアでも数多くシェアされました。
普段から街中で写真を撮っていて、自らのことを「あらかじめ何か目標を定めて写真を撮るようなタイプではない」と語ります。
それは、今回のプロジェクトも同様。
「こういうものを作ろう」と構想を練ってから撮り始めたものではなく、それまでに撮ってきた時間も場所も異なる写真から、共通点のあるものを集め、ひとつの物語を見出したのだそう。
「写っている人や物」「写真を選んでいる私」そして「この写真を見ているあなた」は、それぞれ別の瞬間に存在しています。表面的には移動をテーマにした構成にはなっていますが、「彼ら」や「私」と同じ線の上に「あなた」が立っていると思って見ていただければと思います。"To Elsewhere"にいる鑑賞者の機微に、少しでも触れるような何かが届けば嬉しいです。