「自分に正直に生きると道が開ける」ということを、インドの旅人が教えてくれた。
「旅に行きたい」とぼやいているけど、ついつい言い訳ばかりしていない?
仕事で重要な案件を抱えているから。バイトを休むと代わりがいないから。挙げたらきりがないくらい。
でも本当は今にでも出発したい…。
そんな中途半端な気持ちを一掃してくれそうなインドのバックパッカーがいます。2014年、できるだけお金をかけずに始めたAakash Ranisonさん(21歳)の旅は、形を変えながら今も続いている。
自転車で約20,000km
Ranisonさんは、主にサイクリング・ヒッチハイク・ウォーキングで旅をしている。デリーやムンバイなど、多くの場所に自転車で行き、走行距離はなんと約20,000km。
ヒッチハイクでは、インドの北から南まで50,000km以上、80を超える街々へ行った。また車がつかまらない時は、早朝や夜遅い時間帯に何時間も道路を歩き、歩行距離は5,000km以上にもなったという。
ムンバイからゴアへ行く途中の風景。
自然と周りの環境が
変わってきた
「旅を続けることによって、多くの人たちが僕に連絡してくれて、多数の会社がスポンサーとして名乗り出てくれるようになったんだ」
旅をするにしても、もちろん使えるお金があるのとないのとでは、やはり全然違うだろう。しかし、Ranisonさんは今でも初心を忘れてはいないという。
「コストをカットしたり、抑えたりすることを心がけているよ。なぜかって?そうすることで、予期しない冒険ができるからね」
インドールからチェンナイまでの道中、立ち寄った海で。
仕事を夢にするのではなく
夢の中から仕事を作る
Ranisonさんが、旅の途中で出会った人たちに「夢はなんですか?」と聞くと、エンジニアなど、職業に当てはめた答えが返ってくることが多いそうだ。そんな時、自分自身にも問いかける。
「僕が、人生でやりたいことはなんだろう?」
「何かひとつの職業を夢にするのではなく、自分の夢の中で生きていきたい」。
だから彼は、旅することをやめないのだ。続けていくことで自分の興味があることに結びつけ、ビジネスをしていきたいと言う。
ひとり旅、ヒッチハイク。ここまで読むと、もう何年間も自宅に戻らず、今も懸命に前へ進んでいる彼の姿を思い浮かべる人もいるかもしれない。でも実はRanisonさん、ときどき家に帰っては、旅に関わるプロジェクトなどを進めている。
どんなプロジェクト内容なのかを例にあげると:
インド南部のカンニヤークマリからずーっと北に行ってカルドゥン・ラまで旅をしながら、貧困で命を落とす子どもたちを守るため、衛生的であることがいかに大事かについて呼びかける活動をしていく「南北プロジェクト」を行う。また、インドを抜け出しバングラデシュまで自転車で行く途中、少女や女性の社会進出のためITを教える「バングラデシュプロジェクト」などもある。
ここまで旅してもなお
戻りたい場所
「タージ・マハルには20回以上行ったけど何度でもまた訪れたい」。Ranisonさんは他にも、ムンバイ、ポンディシェリ、ガントクの地名を挙げている。これらの場所は特に、自然や人、文化が好きだということだ。
人生ってなかなかプラン通りにはいかないもの。だけど、自分が本当にやりたいことを続けて夢中になれた時、可能性は無限に広がっていくのだと、Ranisonさんのストーリーが教えてくれた気がする。