男性の精子数、過去40年で半分以下に。
核戦争でも、気候変動でも、ましてや宇宙人襲来でもないところから、「人類滅亡の危機」がもたらされるかもしれない。
世界中から子どもが消える……そんなSFのような未来が、本当にやってくる?
男性の精子数
40年間で約6割減
先月、「Human Reproduction Update」に発表されたある研究結果に、男である自分も他人事とは思えなかった。科学者たちが突き止めたのは、この40年の間に男性たちの精子の数が激減しているという事実。このままでは人類の存続すら危ないと警鐘を鳴らすものも。
ヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど西洋諸国に暮らす男性たちの精子数の推移を調査したのは、ヘブライ大学の研究者たち。
1973年から2011年まで、40年分のデータから見えてきたのは59.3%の減少、さらには今も年間平均で1.4%ずつ減っているという現実だ。これまでにのべ185回(被験者数約43,000人)におよぶ調査が実施されているらしく、精子の濃度すら薄まっている事実さえも明らかに。
前のめりにがっつくこともなく、どちらかといえば恋愛に奥手、そんな草食化した男性たちのイメージが、ふと頭に浮かんだ。くだんの研究結果にどれだけ起因しているかは定かでないにしても、こう考えれば理屈は通る。
それにしても、だ。この40年、男たちのカラダに何が起きていたのか。
肉体的にも、精神的にも、
環境が“オトコ”を追い詰める
たとえば、アメリカ海洋大気庁(NOAA)が示すデータによると、1970年代後半から2000年にかけて、大規模な温暖化が起こっていることがわかる。もちろん気候変動だけが原因ではないにせよ、「精子は熱に弱い」という性質からも、上昇し続ける気温に少なからず影響を受けていると考えるのが自然じゃないか。
だが、今回の研究チームを率いたHagai Levine教授に言わせると、原因は我々の日常にも潜んでいるようだ。「The guardian」に以下のような見解を述べている。
「明確な原因は特定できていないものの、農薬をはじめとした化学薬品による影響のほか、喫煙、肥満、ストレスといった日常の生活習慣まで、男性の生殖機能を衰退化させるあらゆる可能性を考慮すべき」
ただ、彼らの所見に対しては懐疑的な見方もあるようで、男性の精子減少が必ずしも人類滅亡を助長させるものとは限らない、と反論する専門家も。
ところで、ボクら日本人の実態はどうなのだろう。
前述の通り、これまでの研究はすべて西欧諸国に限ったもので、実のところアジア、アフリカ、南米の男性には、精子の減少は見られなかったそうだが、これ自体そもそもの調査対象に入っていないことが理由だとか。それでもLevine博士は、これらの地域でも同様に減少の可能性があると懸念する。
この調査研究、まだ結論が出たわけじゃないため、今すぐどうこうの話ではないそうだ。が、ことの程度は別としても数字が示すように半減となれば、いくらなんでもライフスタイルの変化で済むハナシではないんじゃ(と緊張感をもって)。