寂しいと感じる人は、無意識的に「顔」が描かれたモノを買う。

今まで一度も考えたことはなかったけれど、この研究結果を見て、もしかしてあの大手コーヒーショップも、チキン屋さんも、「だから顔をトレードマークにしたのか?」なんて思ってしまった。

本当にそうだとしたら、社会の流れと人の心理を読んだうえで、ずっと前からマーケティングしていたことになる。真相はわからないけれど、そう考えるとちょっと怖い。

商品のパッケージまで使って
「孤独」を紛らわせる現代人

オレゴン大学でマーケティングを専門とするBetina Cornwell教授は、こう語る。

「人のビジュアルは、社会的な繋がりが欠如していて、孤独を味わっている消費者の心を紛らわせています。寂しいと感じるほど人との関わりを渇望するため、人物像の描かれたパッケージの製品を買うことが多くなる傾向にあるようです」。

氏の研究の1つにこんなものがある。

<広告に関する調査>と参加者に説明し、ワインの架空のブランド名とスローガンを作成。その次に顔以外の画像と、顔をはっきりと描写した画像の両方を含む、18のラベルを作成。それぞれのワインを見た参加者に、「どんなイメージを抱いたか、どのブランドに惹かれたか」などの質問をしたそうだ。

結果は、ブランドの好感度に「ラベルに人物が描かれていること」が、重要なポイントであることが判明。しかも、顔以外の絵と、顔がはっきりわかるものでも明確な差があったという。

研究者はまた、被験者に個人的なワインの好みの聞き込み調査も実施。その結果も同様に人気のワインのラベルには顔の描写が。ちなみに、笑っているかどうかは関係がないらしく、重要なのは「顔がはっきりしているか否か」だけ。

実は、この結果が出たのは2017年から。以前の実験では、人の描写による明らかな反応の変化はなかったと教授は述べた。

今後、もしかしたら顔のあるパケージがどんどん増えていく?現代人としては、なんとも切ない研究結果だな…と、思わずにはいられない。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。