オランダで刑務所から脱獄してみた

リアルすぎる…。実際に使われていた刑務所から脱獄するゲーム「Prison Escape」に参加した、僕が抱いた正直な感想です。

10年ほど前アメリカで大流行したTV番組『プリズン・ブレイク』さながらの緊張感。あの地下へ扉が怪しいな、いや待て待て、その先に看守がいるかどうかわからない。ん、この手紙とコインは……。

ゲーム開始前にPrison Escapeクリエイティブ・プロデューサー兼オーディオデザイナーのFelix氏とCEOのRik氏にインタビューを敢行しました。二人の話も交えながら、唯一無二の脱獄ゲームを紹介します。

リアル刑務所脱獄ゲーム
「Prison Escape」

アムステルダムから南へ電車で約1時間、ブレダーという街にその元刑務所があります。

週末を中心に定期的に開催される脱獄ゲームは、およそ80名のプロの役者たちが看守側、チャレンジャーは囚人側となり脱獄を試みるというルール。

最大収容人数は400名とかなり大規模で、チケットは€65〜75€(約8,600円〜約10,000円)程度といいお値段。囚人服に着替えさせられ、本物の受刑者さながら写真撮影も。もちろん僕もパシャり。このときはまだニコニコしていられたのです。

それは、ゲームというより
「映画」の中にいるような体験

さて、ここからはインタビュー形式で詳しくご紹介。まずはじめにCEOのRik氏にお話を伺いました。

——どうしてこのゲームを思いついたのですか?

Rik氏:約4年前にゲームデザイナーと共にエスケープルームというものをやっていました。6人でパズルを解いて1時間以内に部屋から脱出するようなゲームです。もっと大きくやってみたいと仲間と考えていたところ、たまたま友人がロッテルダムにある刑務所が空くということを知らせてくれたんです。

そして大きなゲームになった場合、パズルを解くだけでなく、役者を使ってインタラクティブな劇場型にする必要があると学びましたね。ゲームというよりは「映画」の中にいるような体験かな。

(現在ロッテルダムにあった刑務所は住宅地になってしまったため、ブレダ−にある刑務所を使ってゲームを運営している)

——初めて実際の刑務所を使ってゲームを終えた時のことを教えてください。

Rik氏:まず、いろんな大学に行って仲間を集めて、議論して。役者を見つけて備品を揃えていたら、あっという間にお金がなくなってしまいました(笑)。当時は貧乏な学生だったもんで。

そこでキックスターターを通じて資金調達を行いました。1週間で400人が参加してくれて、とても奇妙な感じでしたね。頭のなかにあったアイディアが仲間の力で実現していって。ですが、とても美しいプロセスでもあります。

——1番苦労したことはなんですか?

Rik氏:意外かもしれませんがチャレンジャーのコントロールですね、チャレンジャーには脱獄してくださいと伝えますし、チャレンジャーに対してどれくらい看守が必要かなど。

あとはタイミングも難しいですね。ゲームの中では、複数の物語が同時に進んでいきます。適切なタイミングで進めていかないと脱獄の道が閉ざされてしまいますからね。

脱獄しても、しなくても、
同じように楽しめる設計

続いては、クリエイティブプロデューサーのFelix氏にお話を伺いました。

——ズバリお聞きしたいのですが、脱獄の確率は何%くらいでしょうか?

Felix氏:ん〜(苦笑)大体の数字ですよ、おおよそ60%程度だと思います。ゲームではなくてインタラクティブな映画ですし、もちろんチャレンジャーのゴールは「脱獄」です。と同時にプロセスも大切なんですよ。(ゲーム内の)出来事の目撃者でもあるし、チャレンジャーがどう関わるかでどんどん物語が変化していくんでね。

もし脱獄できなくても、素晴らしいシーンを用意しています。それは脱獄した人は見れませんよね。「Prison Escape」はアクティブなチャレンジャーも、そうでない人もいます。例えばただ見ていたい人もいますし、時々シーンに関わりたいと思ったら関われる。そんな仕組みになっています。可能な限り、すべての体験やプロセスにチャレンジャーが関われるように設計したことがこだわりですね。

——どのようなチャレンジャーが多いのでしょうか?

Felix氏:平均的には18歳〜30歳くらいだと思います。新しいことに挑戦することを恐れないような人たち。なんせ脱獄しようとしていますからね!プリズン・ブレイクのファンの人もいます。

——なるほど、では「Prison Escape」の一番のおすすめポイントを教えてください。

Felix氏:難しい質問ですね、あまりゲームの内容は漏らしたくはないのですが、いろいろな要素に参加できることかな?このとても大きいリアルな監獄で様々な要素に参加し、それぞれがつながっていくこと。それが「Prison Escape」を作っていると思います。

夜7時、生まれて初めて
僕は収監された…。

結論から言いましょう。「脱獄」はできました。

収監と同時に役者の演技に圧倒され、ビビりまくる。本当に甘い演技じゃないんです。全編オランダ語だったため、時々仲間が通訳してくれる以外は周りの状況を見て判断しなければいけない。

誰を信用するべきか、裏切り者はいないのか。このコインは脱獄への手がかりだったのか?緊張と猜疑心が混じり合う中、物語は進んでいきました。

ある重要な役目を負わされたときは、もう死に物狂い。ゲームなのになんとか生き延びなければという気持ちに。

ゲームには何回でも参加でき、全く違う脱獄体験が用意されているとのこと。収監予約はこちらからどうぞ。ま、もう一回やれって言われたら僕は遠慮しますけどね。

Licensed material used with permission by Prison Escape
他の記事を見る
KLMオランダ航空の本拠地、アムステルダム・スキポール空港。何よりまず向かうべきは『Heineken bar(ハイネケン バー)』です!
ホテル?美術館?こんなモダンなデザインの建築物を見たら、そう思ってしまうのは、僕だけではないはず。これが、刑務所と知った時、絶句してしまった。
サンフランシスコ ダンジョン」という、地元の暗黒歴史をテーマにしたホラー観光名所で、あの刑務所を再現した宿泊施設が限定オープンするのだ。看守や囚人による余...
囚人たちに対して行われていた危険な実験を紹介する「The Infographics Show」の動画に衝撃を受けました。動画の最後に、「囚人に対して実験し...
今から紹介する場所に、お子さんを連れていくのはあまりオススメできません。家族旅行ではなく、友達や恋人と少人数でお楽しみください。どうしてかって?お子さんに...
アムステルダムで考案された、「自転車」と「環境」をかけ合わせたプロジェクト。自転車のペダルを漕ぐと、再生可能エネルギーを生産できるというもの。
オランダ東部にあるトゥウェンテ大学。この大学の敷地内には、9階建ての建物の側面に30mものクライミングウォールがあります。グリップの数は2500個。オラン...
ロンドンの企業がつくったVRゲーム専用のシュミレーター。対応しているゲームは80種類以上。ぐるぐる回って新次元のVRを体験できます。
Maarten Baasさんというアーティストが手がけていて、“時計の中にいる人”が短針と長針を書いたり消したりして、時刻を教えてくれるユニークなデザインです。
サーバーの排熱で家を暖めるサービスを提供するオランダ企業Nerdalize。これだけだとちょっと分かりにくいかもしれませんが、とってもメリットの大きいプロ...
「Gates of Light(光のゲート)」は、オランダの「締切大堤防」にある60基の水門に、マイクロプリズムシートが取り付けられてできたインスタレーシ...
2013年に稼働終了した「Shepton Mallet Prison」。最近になり、重い扉がまた開かれた。17世紀に建てられたこの古い刑務所では、現在ゴー...
オランダ・ティルブルフで1月にオープンした図書館「LocHall」の前身は、電車の駅です。使われなくなった場所からみんなの集まれる場所へとリノベーションさ...
アムステルダムといえば、ヨーロッパ有数のトラム網が整備された街。最近、そんな市民の足にある変化が起きているのだそう。実は車内に、「ワニのステッカー」が登場...
あるゲームクリエイターが作ったのは「踏み込んだ」オトナのゲーム。矢印キーのみで操作できて、夜の過ごし方を学べるようにと作られたそうです。スマホからは楽しめ...
ドイツのスタートアップ「holoride」が開発したのは、クルマの中でプレイするためのVRゲーム。ただ仮想現実を体感させるだけでなく、曲がったり止まったり...
世界的なカードゲームの「UNO」。とある非公式ルールについて、公式ツイッターでこんなつぶやきをしました。
自分は20歳若い!ということで、69歳のオランダ人男性Emile Ratelbandさんが「49歳」を正式な年齢と認めるようにと訴訟を起こしました。
オランダを中心に展開するポップアップカジノ「The Black Box Bellagio」。無料で遊べるワケは、お金の代わりにあなたのプライバシーを使えるから。