町の読み方って…「マチ」と「チョウ」どっち?

「地名に関する本はあるのに、住所に関する本はない…ならば住所の適切なガイド本を作りたい!」

そう思い立ち「住所の仕組み」についてまとめた本を手がけた、フリーライターの今尾恵介さん。彼は著書『番地の謎』(光文社)で、個性的な住所名にスポットを当てて深く掘り下げています。

今回は、土地の名前でよく使われる「町」の読み方について。「マチ」と「チョウ」のふたつがありますが、どちらがどの地域で多く使われているのか? 歴史や傾向を見てみましょう。

※以下は光文社知恵の森文庫『番地の謎』を再編集したものです。

マチとチョウが隣接する
「東京の地下鉄」

Bb0e004e8174c9562984c0914833a0b58a66f4fc

東京の浅草から地下鉄銀座線に乗ると、次の駅が田原町でその次が稲荷町です。どちらも住居表示の実施(郵便物を配達しやすくするため、住居の表示を分かりやすくした制度)で町名としては消えてしまいましたが(現在は西浅草、東上野など)、駅名は変えられずに現在まで使い続けられています。

ちなみに、このふたつの町は「たわらまち」「いなりちょう」と呼びます。

同じ「町」なのにマチとチョウの駅名が隣り合っているのですが、このような例は珍しくありません。古本屋街の神保町は「チョウ」ですが、その隣の小川町は「マチ」。日本では小学生でも知っている「町」の字なのに、どうして読み方が一致しないのでしょうか? 

まず「町」には、地方自治体としての町と、市町村の中に含まれる町(地方自治法にいう市町村の区域内の町)の2種類があるようです。

自治体名では
東日本がマチで
西日本がチョウ

まず、自治体の「町」をどう読むのか調べてみました。

ただし調査で使った資料は、平成15年度版(2003年)新潮選書版の「住所と地名の大研究」です。(平成の大合併が終わった今では、自治体数も約半減しているため、状況が変わっていることをご了承ください)。

北海道が森町を除いてチョウ、東北は青森、秋田、山形、福島がマチ、岩手と宮城は混在、関東はすべてマチ、中部は福井を除く北陸と長野がマチで山梨が混在、東海、近畿、中国、四国のほぼ全域がチョウ、北九州は混在、南九州と沖縄はチョウとなっています。

大まかな傾向としては、北海道以外の東日本がマチ、西日本がチョウ、ただし九州は混在というのが実情のようです。

市町村内の「町」は
どうか?

156e51bfe0a826491edd4481fb740bd62574aaae

では、市町村内の「町」をどう読むか…ですが、こちらはさらに膨大な数が全国にひしめいているので、傾向を掴むまでには至っていません。ただ、自治体とは異なる歴史があるようです。

近世以降の城下町における居住地といえば、おおむね町人の住む町(町人町)と、武家屋敷の2種類がありました。このうち武家屋敷は正式町名がなく、明治になって通称地名を町名としたり、町人町と合併という形で町名が命名されました。

町人町の中には、いわゆる「職人町」があります。鍛冶町、大工町、紺屋町などが「職人町」にあたりますが、これらをどう読むかといえば、これは洒落でもなく「マチマチ」です。

東京の例でいえば、千代田区神田の鍜治屋町、紺屋町、北乗物町などはチョウですが、新宿区牛込地区の細工町、箪笥町はマチです。武家屋敷があった地域でも、牛込の矢来町、千代田区の一番町、紀尾井町などはチョウですが、御徒町(現在は駅名のみ)、大手町はマチ…と、やはり統一されていません。

地方都市を見ると、仙台や和歌山などでは本来、武家屋敷の「丁」と町人の住む「町」を字で区別していましたが、仙台については以前「丁」であったところが居住表示の実施で「町」とされてしまったため、明快な区別が失われてしまいました。同市には今なお小田原金剛院丁、東七番丁、保春院前丁などが生き残っていますが、今後はどうなるか分かりません。

このように「チョウ」と「マチ」の問題は、それほど簡単なものではなかったのです。

歴史的建造物が多く残り、観光地としても人気の「京都」。その地で活躍した人物や歴史的事件は、国内外問わず多くの人が興味を持っています。これまで、地図や鉄道関...
地図や鉄道関連の本に多く携わってきたフリーライターの今尾恵介さん著書『番地の謎』(光文社)では、日本の住所表記について掘り下げ、歴史や傾向について詳しく紹...
2016年7月20日。ついに、首都・東京にも「星のや」が開業。ポイントは、東京では姿を消してしまったかのように思える日本旅館をコンセプトにしている点。設計...
京都府与謝郡伊根町。丹後半島の北東部に位置し、古代より大陸との交流が盛んなこの町には、どこかノスタルジックな光景が広がっています。「まさか、京都にこんなと...
埼玉県・小川町は、おいしさとやさしさが溢れる町だ。オーガニックでおいしい食べ物は、僕たちの心を体を満たしてくれるし、地球にとってやさしい、ということも大切...
2016年7月20日。日本の政治経済、文化の中心である東京に「星のや」がついに開業。発信するのは、世界に認められる究極の「和のおもてなし」です。
マリオット・インターナショナルが展開する『モクシー・ホテル』が、東京と大阪にオープン。ミレニアル世代が「めいっぱい楽しめる」このホテル。あらためて、その魅...
「INDUSTRIAL JP」というプロジェクトがある。日本の町工場をレーベル化する計画だ。つまり、工場内に繰り返し鳴り響く機械音を再編集し、映像と掛け合...
堀田昌意さんのインタビューの後編では、農業にのめり込んだきっかけ、堀田さんが考える農家のあり方、そして今後どのように発展、成長していきたいかなどをお聞きし...
日南・飫肥で、地域再生や古民家再生プロジェクトなどに関わる人たちが、誰が呼びかけるわけでもなく自然と集まってくるBarがあります。雰囲気は、アメリカの田舎...
徳島県神山町で移住者に「お父さん」と呼ばれて親しまれている岩丸さんです。移住者が多いことで知られるようになった神山町ですが、そこにはきっと何か特別な努力が...
北海道札幌市の隣町、当別町。『家具工房旅する木』の須田修司さんは、この町にある廃校になった小学校の校舎で、オーダーメイドの家具を作っている。
ここは兵庫県篠山市。約400年の歴史を持ち、国の史跡に指定されている篠山城の城下町であるこの場所に、ぜひ訪れてみたい独創的なコンセプトのホテルがあります。
岡山県の農家が1859年に発見し、現在も岡山県が生産量の95%を占める酒造好適米、「雄町」。広く普及している酒米「山田錦」や「五百万石」のルーツとなった品...
あるひとりの「タクシードライバー」が来たおかげで、この町の住人の生活は大きく変わりました。一体どんなことが起きたのか。そして、彼が休まずに働き続ける意外な...
こんにちは。クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」でローカルフードを担当している菅本香菜です。副業では、旅するおむすび屋さん「むすんで...
愛知県名古屋市で教員生活をしていた山田忠男さん。定年退職を機に、北海道の厚真町で羊農家に挑戦しました。厚真町唯一の羊農家となり、羊肉を出荷しています。羊の...
大阪・河内地方に伝わる盆踊り「河内音頭」。地元では、夏だけではなく春でも冬でも季節に関係なく踊られ、発祥の地・八尾市では、踊りながら年越しをする人もいると...
福井県池田町は、かつて林業の町として栄えた町。しかし、今では森林資源の利用が減少の一途をたどっているのだそう。こうした状況の中、木や森の新たな価値を創造す...
おいしいコーヒーと、グルテンフリーのフードメニューで人気のカフェ「ことりうさぎ」は、秋田県北東部の鹿角市にある。温泉やスキー場といった北国らしい魅力はたく...