これなら続けられる。「食べる麹」「塗る麹」

「発酵食は体に良さそうだけど、納豆ばかり食べられないし、毎日お味噌汁も作れない——」

ヘルシーな食生活への意識が高い人が増えた一方で、発酵食品に難しいイメージを持つ声はまだ多い。

しかし発酵食品に欠かせない麹(こうじ)が、誰でも・いつでも・簡単に食べやすい形になったとしたらどうだろうか。

「いつでも・余すところなく・
心地よく」

むかしから日本にある発酵食品といえば、味噌、しょうゆ、日本酒、みりん、甘酒…どれも「麹」を元に作られている。麹とは、蒸した米や豆に、麹の菌をまぶして一定条件で保温させたもので、ビタミン・ミネラル・アミノ酸といった栄養素が豊富だ。

お米で作られた米麹(こめこうじ)は、数10種類もの酵素をふくみ、消化を助け、腸内環境を整える。特に、ビタミンB群が代謝を促すため、疲労の回復や、肌や髪を健康的に保ってくれる。むかしから、各地の酒蔵で日本酒をつくる杜氏たちの肌がきれいといわれる理由はここにある。

では、現代人のわたしたちが普段から麹を取り入れるには、どうしたらいいのだろうか。

麹で作られた発酵食を日々の食事にうまく活かすことはもちろん、もっとも簡単なのは「麹を食べる」ことだ。特に使いやすいのは、麹を粉末状にした”パウダー麹”。

パウダーの麹は各メーカーが製造販売しているが、自社のInstagramアカウントで誰にでも簡単な使い方を公開しているのは、2017年3月にリリースされた「雪糀 ーゆきこうじ ー」だ。

その前に「こうじ」の漢字を
おさらい

”こうじ”という漢字は、麦に菊と書く「麹」と、米に花と書く「麹」の2つがある。

これは、麦がたくさんあった中国大陸と、お米が豊富な日本という、食をめぐる環境と文化の違いがそれぞれの漢字を生み出したもの。日本では、麹の菌糸や胞子がふわふわした見た目を”花が咲いた”と表現した。実に日本的な感覚が反映されている。

雪糀を
まずは料理や調味料に

細かなパウダーは、ふわふわサラサラ。まさに雪のように澄んだ白さに、思わず「美しい」と言葉にしたくなる。

自分が使いやすいサイズの瓶などに移しておき、いつでも食卓で使えるようにしておくと便利。ほんのり麹の甘さは感じつつも、食べ物の味を邪魔するような強さはないので、サラダやおかずに直接かけて食べることができる。ご飯やトースト、味噌汁やスムージーなどにもサッと使えて良い。

また、あらかじめお塩と混ぜて別容器に分けておけば、料理の仕上げにも使えるし、天ぷらなどを直接つけて食べられる。塩以外にも、すったゴマとあえておくと白和えやおひたしにかけて奥行きのあるおいしさが味わえる。粉末のスパイスやハーブと合わせておけば洋食系メニューにもぴったりだ。

慣れてくると、どんどん使い方が広がる。

例えば、しょうゆを雪麹に少しずつ加え、好みのとろさになるまで溶きながら混ぜれば、即席の「醤油麹」だ。小皿とスプーン1本であっという間に作れる上に、パウダー状のためすごくなめらか。そこに生姜やにんにくをすりおろして混ぜておけば、肉や魚料理の下ごしらえにも便利。まぜてから1〜2日間置くとさらに熟成して風味も増す。自分の好みを探るのも楽しいだろう。

もちろん、雪糀を使って「塩麹」も作れる。お湯(大さじ4)に塩(小さじ2)を溶かしておき、雪麹(大さじ2)に混ぜながら溶くだけ。使い勝手の良い”魔法の調味料”が簡単にできる。

さらに、ギルトフリー(罪悪感なし)なスイーツにも活用可能。

雪糀とココアを混ぜておき、お湯やミルクで溶かせば、甘さ控えめのココアドリンクに。お湯の量を極限まで減らして練れば、チョコクリームのようなディップにもなるので手作りおやつにとても便利だ。

もちろん、甘酒だって作れる。

雪糀(50g)を70度のお湯(100cc)と混ぜてから、一定の適温で8時間ほど寝かせよう。つぶつぶがない、なめらかでトロトロの甘酒ができあがる。

続いて、ビューティー編

麹の美容成分を味わうために、お風呂での”雪糀パック”を試してほしい。

雪糀とぬるま湯を1:1くらいで混ぜ合わせ、水分が混じらないように気をつけながら少し温める。やわらかな優しいスクラブとなったパックを、顔や手など乾燥が気になるところに塗り、そのまま湯船につかって温まろう。ほどよく温まった麹の酵素が、素肌に浸透していくのを感じられるだろう。

水分を含んで温められた雪糀は、実は酒蔵で作業する杜氏の手と同じ状態といえる。湯船で全身を温めれば、まるで酵素風呂に入っているかのように、効果が全身に染み渡る。

「パックした後、湯船にそのまま溶かすと、全身がすべすべになります。乾燥する冬場など、本当におすすめ」

と話すのは、同商品を販売するmoWa代表の鈴木由起子さん。「個人的には麹の魅力を伝えたい一番の理由」として美容効果を実感しているらしい。もちろん雪麹は「食品」であるため、あくまで鈴木さん個人の利用法であり効果も人それぞれではあるが、彼女の透き通るような美肌を見れば、試してみる価値を強く感じるだろう。

パックも好みに合わせて、蜂蜜やヨーグルト、オイルなどを加えても効果が期待できる。きっと特別な夜に、しっとりとした艶を引き出してくれるはずだ。

取材協力・写真提供:雪糀 ーゆきこうじー
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。