「きもの」決して滅びることのない、日本の文化。
カランコロン——。
ある夏の日のこと。小さく鳴り響いたこの音に、思わず振り返った私。するとそこには、日傘をさして、優美に歩く浴衣姿の女性がいた。
「嗚呼、夏っていいな」。お祭りや花火。日本の情緒があふれだす。
浴衣や夏着物を纏った人々とすれちがう。夏を感じ、「和の心」を感じながら、美しさに浸る。
私は、密かに日本の“きもの文化”を凄いと思い続けていた(浴衣と着物はちがうものだけど、ここでは「きもの文化」と呼ばせてもらう)。
極端な話だけど、カウボーイの格好をしたアメリカ人や、マリー・アントワネットのようなドレスを着て街を練り歩くフランス人を見つけるのはなかなか難しいこと。でも、義務付けられたものでもないのに、「着物をたしなむ」人がたくさんいるのが日本の魅力だと思う。
私もときどきだけど、着物姿で出かけることがある。ピンッと背筋が伸びて、着崩れしないように、汚さないように。一つひとつの仕草がいつもより丁寧にゆっくりと。なんだか身も心も引き締まったような感覚になって、でも不思議と心は穏やかで。
そこが、着物の好きなところ。
「いつもとちがうあの子。着物をきているだけで、なんだか大人っぽい」。
「夏が終わったあと。街で着物美人とすれちがうと、ちょっと嬉しい」。
「着物生活って、なんだか憧れる」。
四季を感じて、日本を感じて。きもの文化に触れるたびに、幸せな気分になる。
帯留めや髪留め、ストールや巾着。小物もかわいくて、眺めているだけで、顔がほころぶ。
日本の魅力を多くの人に知ってもらいたいから、写真の中に“和の空気”をそっと閉じこめる。観る人が懐かしい温かみのある「日本の雰囲気」を感じられるように。そんな気持ちから、僕は写真を撮り続けています。
shinyaさんの写真を眺めていたら、“古きよき時代”に触れることができたような気がした。
あぁ、久しぶりに着物で出かけようかな。