集中できる自分に生まれ変わる、1週間7つのステップ

『退屈すれば脳はひらめく 7つのステップでスマホを手放す』(NHK出版)の著者マヌーシュ・ゾモロディさんは、バリバリ仕事をこなすBBCの元ニュース記者。しかし、出産を機に「退屈」な時間を過ごすことに。

そんな彼女が、育児生活の中で見つけた答えがあります。デジタル機器との付き合い方を変えれば、もっと素晴らしいアイディアが生み出せるし、人間関係のあり方そのものが変わるかもしれない……というもの。

現在、ラジオの編集ディレクターであるマヌーシュさんは、本書のタイトルにもある「退屈すれば脳はひらめく」プロジェクトを立ち上げました。自身の番組にて参加者を募り実験も行っているそうで、これまででのべ2万人以上のリスナーが彼女の企画に参加したそうですよ。

ここでは、リスナーたちが実際に体験した実験に、さらに改良を加えた「集中できる自分に生まれ変わる1週間(7つ)のプログラム」を紹介します。

レッスン01.
デジタル機器との関係を見直す

まずは、自分がデジタル機器をどのように使っているのかじっくり観察することから始めてみましょう。起きてから眠るまでの基本的な動きを理解することが、行動をコントロールする第一歩になります。

ゲームのちょっとした戦いも、グーグルでだらだら続けた検索なども漏らさずに、自分自身を観察して記録することが大切です。

果たして、自分は何をチェックしているのか……メール、SNS、不在着信、天気。その内容は? スマホで文章を読んでいるのか? 読むなら何を読んでいるのか? よく取り出すのはいつか?

こういう問いかけは「考える」きっかけになります。自分に関係がありそうなことは何でも自問してみましょう。とにかく正直に答えることが重要です

ちなみに、デジタル機器の使用を記録するときは、自分の行動をいつも以上によく見せようとしてはいけません。レッスンの目的をよく考えて実行してください。

レッスン02.
移動中はスマホを見ない、触らない

クルマを運転しているときも、バスに乗っているときも、歩いているときも、デジタル機器はいっさい触ってはいけません。

<レッスン01>に取り組んだあとなら、自分のデジタル習慣について気づいたことが、いくつかあると思います。たとえば私の場合、いつでも使えるようにと歩いているときにスマホをしっかり握るクセがありました。手に力が入っていては、心をクリアにできませんよね。あなたも同じタイプなら、まずはスマホをポケットにしまうことから始めてみましょう。もっと頑張れる人は最初からカバンに入れておいてください。

とにかく、すべてのデバイスを目に入らないようにするわけです。目的地に着くまでは決して見ないようにしましょう。

レッスン03.
画面を通さず自分の目で景色をみる

子ども達、同僚、ランチ、美しい夕日……どれも撮影禁止です。 Instagramユーザーにとっては試練ですが、誰でもできることです。

あなたの1日を満たす写真がないせいで、居心地が悪かったり、いらいらしても大丈夫。退屈できれば良いのです。とにかくスマホじゃなく、自分の頭を使いましょう。

デジタル画面ではなく、自分の目を通して世界を見てください!

レッスン04.
本当に必要なアプリだけを残す

ゲームだけでなく、SNSも(人によっては、FacebookやTwitterを削除するのは、死より残酷ですよね。でも大丈夫。死にはしません)削除の対象です。

他にもいろいろあるでしょう。使いすぎている「あのアプリ」。逃避のために使っている「あのアプリ」。たいてい大切な何か(睡眠時間とか)を犠牲にしている「あのアプリ」……。

うしろめたさを感じるアプリをすべて削除しましょう。

レッスン05.
自ら「圏外」へとエスケープ

起業家、経営幹部、一般社員……クリエイティブに問題を解決したい人には、ひとりで集中する時間が必要です。

頭のなかでさまざまなことが結びつき、洞察力が研ぎ澄まされるのは、メール、SNS、電話などから解放されたときです。リフレッシュする時間は弱さの表れではなく、自分の生産性をいちばん高めるための条件なのだと理解して静かな時間を作らなければなりません

そこで偽の休暇(フェイクケイション)をとるようにしましょう。私たちは猛烈なデジタル攻撃のせいで疲れ果て「考えること」ができなくなっています。偽の休暇とは、その攻撃から少し離れるという意味です。

偽休暇を取得する場合、まずは時間を決めてください。午後いっぱいなのか、1時間なのかは、あなたの自由です。オフラインになることを上司が許してくれないなら、プライベートで時間をとってください。とにかく時間を決めて(オフラインにしてもあまり困らない時間帯を選びましょう)、それをしっかり守ることが大切です。

レッスン06.
自分の視界に入ったものを
ただ「観察する」時間をつくる

どこか公共の場に行って、しばらくそこで過ごすことをおすすめします。

公園、ショッピングモール、ガソリンスタンド、カフェ……どこでもかまいません。着いたらそこに留まりましょう。そして人でも鳥でも何でもいいから目に入ったものを眺めてください(1時間以上いる必要はありません)。どこかでじっと観察するのがイヤなら、歩きながらでも良いでしょう。誰かが考えていることを想像したり、細かいことに注目してください。デジタル画面に見入っていたら気づかないことを、ひとつだけ観察するのです。とにかく何かに気づくこと。それが創造への第一歩です。

07.
あえて退屈レベルで
アイデアを生み出してみる

最後のレッスンは、これまで行った6つのレッスンのまとめです。

デジタル機器をめぐる「自分の行動パターンを詳しく観察」、「写真を撮ることをやめる」など……私(著者)はこれらを行うことで、人生について考えるようになりました。

このレッスンを通してあえて「退屈」し、未知レベルの内省や創造性、発見、勇気を見つけていきましょう。

今回のレッスン後にやるべきことは、以下のとおり。

1.
あなたの人生で、戸惑っていること、避けていること、あるいは考えるのさえ恐ろしいことは何かを考え、思い浮かべてみてください。大切なのは、考えようとするたびに、ついネットに逃げてしまう問題が何なのかしっかり自覚することです。

2.
30分間、注意散漫になるものがいっさいない状態を確保しましょう。スマホ、タブレット、ノートPC、その他すべてのデジタル機器を使わないようにすること。

3.
「2」を終えたら「退屈」したまま、ペンとメモ帳を手にして椅子に座り、「1」で浮かび上がった課題を解決する作業に心を注ぎます。この段階では、とにかく新しいアイディアを生み出し、それを紙に表現してください。その計画をどうやって実行するかはまだ考えなくても大丈夫。ここではとにかく、自分が抱える問題について「退屈」の力を利用して素晴らしい解決法を解き放つことが重要なのです。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。