かつて、子どもだった大人たちへ。

10代真っ只中に、『ライ麦畑でつかまえて』を読んだ。その時は、なぜこの作品が名作と呼ばれるのかがわからなかった。

でも大人になってもう一度ページをめくってみたら、それは確かに、痛いほど血の通った、鋭い青春小説だった。その時に自分が、どれだけ「子ども」から離れたのかを知った。

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この写真を見たとき、自然とそのことを思いだした。というのも、私は本の中で主人公の少年ホールデンが、回転木馬に乗る妹フィービーを眺めていた時に感じたような、幸福で、甘やかで、美しくて、それでいてどこか切なくもあるような不思議な感覚をこの8歳の女の子、Loraに感じたのだ。

写真を撮っているのは、フォトグラファーでもあるお父さん。でも彼はただ我が子がかわいくてその姿を撮っているわけではない。

子どもが世界をその小さなカラダいっぱいに味わっている姿に、それだけに、こんなにも心が揺すられ惹き付けられるということについて、彼は深く考え、私たちに訴えかけているのだ。

本当は「大人のため」の写真

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私は人々が身を置く何気ない環境のなかに、並外れた相互作用があることに魅力を感じずにはいられないのです。

2013年の秋、私は突然パニックになりました。Loraに起こるかもしれない何百、何千もの恐ろしい出来事が私の脳内を覆い尽くしました。交通事故からテロ、校庭で転んで頭を打ち付けることに至るまで様々に。

それは親なら誰もが持つ一時の憂鬱なのだと今ではわかります。でもその時の私は落ち着くことができず、娘のやることなすこと全てに「気をつけろ!」と叫ぶ父親になってしまいました。

しかし、実を言うと、娘はそんなに脆いものではなかったのです。彼女は賢く、いつもその両目で、ものごとのずっと奥を見ていました。むしろ実は脆いのは私で、助けが必要なのだって、本当は私の方だったんです。

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私はフォトグラファーとして、彼女の写真を撮っているのではありません。これはむしろ私の写真です。

私は「フレンドリーで快活なパパ」になりたかった。けれど、ぬぐいきれない不安によってそうはなれず、苦しんでいました。そんななか、自分の生きる世界を凛と、まっすぐ見つめる彼女を写真に収めてゆくことは、私にとって一種の治癒だったのです。

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彼女がその目で覗く物事の深淵、そしてそれをまだ拙い言葉で感じたままに話す姿に、彼はある種神聖な何かを感じていたのかもしれない。

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「パパ、秘密をひとつ教えてあげる。もしも秘密のままでいられたら、それはきっと、ダイヤモンドみたいに特別なものになるはずよ」

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「歳をとってるってことは、醜いってことか、死んでいるってことだわ」

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「外の世界は、とても、とっても広いのね」

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人はどうしてだんだんと、子どもの表面だけを見るようになっていくのだろう。彼らが奥底に持つ不思議なチカラ、渦巻くパワー、彼らの見ている世界でだけ感じることができる特別な感覚の存在を、いつの間に忘れていくんだろう。どうしてそれを再び思い出した時、自分も通って来た道のくせに、驚き、感動するのだろう。

Loraの言葉や姿を収めたこれらの作品は、写真集になって2018年初頭に販売される。『Even Firemen』と題されたこの作品、詳細はこちら

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Licensed material used with permission by Caspar Claasen
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