急ぎのランチに「ペペロンチーノ」をつくってはいけない理由

なんでも焦ってやってうまくいくことなんてないけれど、料理においてもほんとそうだなって思うことがありまして。

知らなきゃ知らないでもそれなりにウマイんですが、これ覚えたら、もう世界が一変するんじゃないかって。そういうお話です。

時間は30分ちょい
アナタなら何つくる?

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「ペペロンチーノだけは得意なんです」と、普段は“食べ専”の後輩が包丁を握りました。午前中のミーティングが長引き、午後から別のアポもある。時間は30分ってところ。

アポの前にペペロンチーノかい!ってのはさておき。彼、週末キッチンに立つくらいで、あんまり料理はしないそう。のわりにいい音させてニンニクを刻んでちゃっちゃと用意する。ちょいと奮発したというエクストラヴァージンのオリーブオイルまで仕込んでたりして。

なんとも…味気ない「味」
の正体、わかる?

さて、そこから。

フライパンを中火にかけてオイルをひいて、しばらくしてニンニクと唐辛子を投入。「ジュッ」と勢いよく若草色の海ではじけるニンニク。キツネ色になったタイミングを見計らって、程よく隣で茹で上げたパスタをフライパンに。さっと絡めて、品よくオレガノなんかを散らして、ハイできあがり(ドヤ顔です)。

もう、わかる人はわかるんだけど、彼の名誉のためにこう表現するのをお許しください。

決してマズいわけじゃない。ただ、「味気ない味」。

べつに塩が利いてないとか、オレガノがしらすやボッタルガだったら良かったとか、具材が不満とか、そういうことを言いたいんじゃない。単純に「味気ない」のです。なぜかって?そう、アーリオオーリオ(aglio olio)してないからです。

シンプルに見えて奥が深い

かんたんに言えばアーリオオーリオって、ニンニクの香り(風味もね)をオリーブオイルに移したソースのこと。材料もシンプルならレシピは単純。でもこの「移しかた」が一筋縄ではいかない。

なんだってそうだけど、単純そうなものほど奥が深い。ゆえにおもしろい。彼のペペロンチーノが悪かったわけじゃないんだけど、僕がつくるとしたらばこう(なんて、おせっかい)。だって、これ知っとくだけで世界変わるもん。

香りを“引き出す”調理法

© Africa Studio/Shutterstock.com

ニンニクはスライスでも、みじん切りでも、包丁の腹でつぶすだけでも、なんでもOK。むしろ大事なのは、火加減のほう。常温のオイルをフライパンに引いてニンニクを入れ火にかける。ポイントは弱火でじっくり、です。

香味野菜の持ち味である「香り」を引き出すには、弱火でじっくり火を入れていく。というか、香りを油に移していく。これ、実際やってみるとわかりますが案外時間がかかる作業。じーっと待つ。慌てない。焦がしたら元も子もないからね。

だから、急いでいるときにペペロンチーノはつくるもんじゃないよってハナシ。

やがて、フライパンからいい香りが立ってきます。きつね色はあくまで目安。鼻で感じましょう、鼻で。あらかじめオイルにみじん切りにしたニンニクを漬け込んでおいて香りを移したりもできるけど、やっぱりその場でアーリオオーリオする方がだんぜんウマイ。

そうそう、唐辛子。

これは好みだけど、辛いの好きなら種ごといくとか、量を増やすよりも、ちょっとだけソースの温度が下がってから食べるがオススメ。辛味成分カプサイシンは、油に溶けでる性質があるからニンニクと一緒に火にかけるわけだけど、辛味の効力を発揮するのは熱々の状態よりもむしろ落ち着いてきてから。思ったよりも辛かった!なんてことにならないようにね。

 

Top photo: © Maxal Tamor/shutterstock
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