日本人が知らない!感動するほど美味しい「中東料理」をつくる料理人

「広めようとか別に思ってないです。ただ中東料理への感動が溢れちゃうって感じ」と目を輝かせながら語るのは、中東料理を愛してやまない料理研究家兼フードコーディネーターの越出水月。

留学でイスラエルに行った際、日本では見たことも食べたこともない珍しい料理に魅せられ、勉強そっちのけでレストラン巡りに精を出していたという。そんな越出がつくる、日本人がまだ知らない中東料理とは......?

Q. 越出さんがつくる「中東料理」とは?

そもそも中東料理と聞いても「はて?」という人がほとんどだと思います。有名どころで言うと、フムス(ひよこ豆のペースト)やファラフェル(コロッケ)、ケバブ(焼肉)といったところでしょうか。

普段はいわゆるポピュラーな中東料理をポップアップやイベントなどでつくっています。それはそれで美味しいけど、本当はもっと現地で食べるようなディープで美味しい料理をつくりたいと常々思っていたんですよ。そんななか、今回「ツカノマノフードコート」出店のお話をもらいました。

ツカノマノフードコート(渋谷に4月限定でオープンした大人のためのフードコート)では、「マンサフ」という料理をつくりました。日本でいう「すき焼き」くらいのポジションで、「昨日マンサフ食べたんだー」っていうと、周りからうらやましがられるような家庭料理です。

コレ、美味しいけどニオイがかなりキツイんですよ。じつは前に一度だけイベントでつくったことがあって、そのとき会場側から「もうつくらないでください」と言われてしまったことがあるほど(笑)。

マンサフは羊のヨーグルトを乾燥させた「ジャミード」という食材を使います。これはパレスチナやヨルダンではごく一般的な食材。味はチーズみたいですね。骨付きの羊肉と砕いたジャミードを一緒に煮て、その出汁でお米を炊いて、さらに羊肉と米にその汁をかけて食べるという料理です。

チーズやくさや、納豆とかニオイはキツイけど、食べると美味しいじゃないですか。マンサフもそんな感じです。独特なニオイに最初は圧倒されるかもしれないけど、味は抜群。正直、フムスとかファラフェルをつくることに私自身が飽きてきちゃってるので、「何これ現地じゃないと食べられない」っていう衝撃と感動を与えられる中東料理をつくりたいですね。というか、つくります!

Q. なぜ中東料理の研究家に?

イスラエル留学がきっかけです。ユダヤ教を学ぶため留学したんですけど、あちらにいた1年半の間、勉強そっちのけでレストラン巡りばかりしていました。オリジナルのレストランマップまでつくったりして。あとは、現地の一般家庭に入り込んで中東の家庭料理を習ったりと、まさに中東料理漬けの毎日でしたね。あ、一応ヘブライ語は話せるようになりましたよ(笑)。

もともと料理を食べることも、つくることも大好きだったので、料理のお仕事をするようになったのも自然な流れでした。私の育った環境はちょっと特殊で、両親をはじめ、親戚一同がみんな料理好きなんですよ。で、お正月とかみんなで集まると料理大会が始まるんです。タイ料理やケニヤ料理、ポルトガル料理など、旅先や仕事を通して出会った美味しい料理を、家族とシェアする機会でもあるんですよね。

そんな環境の影響もあってか、“料理はその国の文化を知り、シェアするためのツール”という概念が染み付いているんだと思います。

話を戻すと、別に中東料理の研究家を目指してなったわけではないんですよ。自分が食べて美味しいから、ハマったのが中東料理だったというだけ。いろいろな国を旅してきましたけど今のところ中東料理がナンバーワンです!

Q. 今後やりたいことやビジョンを教えてください

©2019 NEW STANDARD

私は正直、中東料理を広めたいとは思っていないんですよね。旅の思い出を語るように、それくらい自然に中東について語り、大事な思い出をシェアするように料理をつくりたいです。その結果、興味を持ってくれる人が増えれば嬉しいですね。

今は中東料理以外の仕事もしていて、最近、祐天寺で日曜日限定の間借り営業を始めました。あと、各地でポップアップやケータリング、フードコーディネーターの仕事もやっています。

今後は、引き続き世界中を旅しながら知らない文化に飛び込み、食を通じて驚いたり感動したりしたいです。次のディスティネーションはもう決まってるんですよ。“中東の食の都”と呼ばれているレバノンとパレスチナ!現地の家庭にホームステイして料理を習いたいです。そこでの感動をまた日本に持ち帰ってきて、誰かに届けられたら幸せだな。

越出水月

フードコーディネーター。中東料理研究家。雑誌やCMなどの撮影用の料理を作る仕事、ケータリング、出張料理。イスラエル在住経験から中東料理が好きで得意。旅と食のアドレナリン中毒。祐天寺「食堂モリサワ」にて、毎週日曜、中東料理popupを出店中。

羊肉の煮込み「マンサフ」

©ツカノマノフードコート運営委員会

羊の乾燥ヨーグルト「ジャミード」

乾燥ヨーグルト「ジャミード」
©MIZUKI KOSHIDE

誰も知らないうまくヤバい世界の家庭料理〜中東&韓国編〜

・11月29日(金)〜12月1日(日)18:30〜23:00

 

「ツカノマノフードコート」

【住所】東京都渋谷区神泉町20-21 第一ミドリマンション 1階

【営業時間】18:30-23:30 (ラストオーダー23:00)

※日によって営業時間が変わるためカレンダーや公式SNSでご確認ください

Twitter: https://twitter.com/TsukanomanoFood

Instagram: https://www.instagram.com/tsukanomanofood/

Top image: © 2019 NEW STANDARD
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