賞味期限7日間の魔法。フルーツケーキがおいしい品川・西小山の焼き菓子専門店

昔ながらの商店街や路地、ノスタルジックな空気と現代の洗練された雰囲気が溶け合う品川区「西小山」。そんな街角に漂ってくるバターの豊かな香りのもとは、焼き菓子専門店「cuisson Lucca(キュイソンルカ)」。

その落ちついた街角に馴染むタイル調の店構え、イギリス植民地時代の名残を感じさせるインドの古材を使ったアンティークファニチャーで統一された無骨な店内では、毎日のおやつを求める近所の人たちと店主の野澤さんが会話を交わす。

男性のお客さんも多い
焼き菓子の専門店

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©2018 相原舜

取材当日も子どもを連れたお母さんや、30~40代くらいの男性のお客さんが、通い慣れた様子で店を訪れていた。卵とバターの風味が濃厚に広がる一番人気のクマのマドレーヌに手を伸ばす子どもたち。男性のお客さんが多いのも、この店の特徴だと言う。

「僕も甘い物が好きなんですけど、お菓子屋さんって内装がかわいらしくて、ちょっと入るのをためらうし、男だと少し居心地が悪くて。でもうちはお菓子を作っているのが僕っていうのもあって、だいぶ入りやすいと思いますよ。たまに店内におじさんしかいない時もあるくらい(笑)」

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©2018 相原舜
人気のクマのマドレーヌ(税抜 220円)
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©2018 相原舜
フルーツケーキ(税抜 275円)と、ガレットブルトンヌ(税抜 210円)

30種類ほどある焼き菓子のなかで、とくに男性に人気なのはフルーツケーキとガレットブルトンヌ。

ふんだんに使われたドライフルーツの酸味と、しっとりとしたちょっぴり重めの口当たりの生地。そんなフルーツケーキが、大人のおやつにはぴったりだ。

ガレットブルトンヌは野澤さん自身もずっと好きだった焼き菓子のひとつ。外はザクッと、中はホロホロと崩れる食感で、バターの香りと甘みの奥に感じる塩気がたまらない。

「焼き菓子だけでは難しい」
と言われた

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©2018 相原舜

店主の野澤さんは、もともと商社のサラリーマン。3年ほど会社員を経験していることもあり、その数年の遅れを取り戻すべく3ヶ月コースのある製菓学校へ。蓋をあけてみると、生徒はマダムばかりでお菓子教室のようなクラスだったものの、本場フランスの講師から地方菓子を本格的に学び、「あとから考えればすごく高度なことをやっていたと思います。学校で学んだレシピのなかで、今も使っているものもあるんですよ」と振り返る。

製菓学校を卒業後、3つのお店を渡り歩き修行を積んだ野澤さん。ずっと普通のケーキ屋さんをやるんだろうと思っていたけど、最後の修業先の焼き菓子の美味しさに衝撃を受け、焼き菓子専門店である「cuisson Lucca」を始めた。

「最初はシェフたちに、焼き菓子一本では難しいと言われたんです。焼き菓子って季節感も出しづらいし、基本的に茶色いし、地味なんですよね。お客さんにもお店のこだわりを理解してもらうまでに時間がかかりました」

こだわりは
賞味期限「7日間」

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©2018 相原舜

そのこだわりというのは、すべての焼き菓子の賞味期限を7日間に設定していること。焼き菓子にしてはとても短いし、1週間以上経っても問題なく食べられそうなのだが……。

「たとえばフィナンシェなんかは、ちょっと焦げるくらい強めにギリギリで焼いて、粉にしっかり火を通すんです。それで粉の香りや食感がしっかりする。クッキーなんかも3ヶ月くらいは傷まないんですけど、バターやシナモンの香りって、1週間程度で飛んでしまうんですよ。そうなると、香りを含めて “焼きたて” に近い状態で美味しく召し上がっていただけるのが、せいぜい7日間。最初は『1週間? 短い!』とお店を出て行かれるお客さんもいましたけど、最近はその美味しさの違いに気づいてくれる方も増えてきました」

「お客さんには最高に美味しい状態を楽しんでもらいたい」という野澤さんの強い思いが、賞味期限7日という限定された時間を生み出しているのだ。

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©2018 相原舜

日々のおやつとしてはもちろん、贈りものとして誰かのためにと「cuisson Lucca」の焼き菓子を選ぶ人も多い。

化粧箱の柄も野澤さんがじっくり選んだもので、年に一度ほどのサイクルで変えているそう。男性も入りやすく、そして賞味期限が短いということもあり、ホワイトデー前はとくに賑わいを見せると言う。

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©2018 相原舜

週末限定で
タルトやカヌレも

最近では、週末限定のお菓子も販売。季節のフルーツを使ったタルトやカヌレなど、見ているだけでも幸せになれるお菓子ばかりだ。

週末限定メニューをInstagramにアップしたところ、20代のお客さんも増えたそうだ。

© cuissonlucca/Instagram
© cuissonlucca/Instagram
© cuissonlucca/Instagram

「お客さんが美味しかったって言ってくれたり、人にプレゼントしたら喜んでくれたからまた来たって言ってくれるのが嬉しくて。プロの人がうちのお菓子を見たら『基本に忠実』という印象になると思います。もちろん、組み合わせの実験をして季節によってメニューを変えたりもするんですけど、基本を守ることでしっかりと本場の味を出していけたらな、と思っています」

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©2018 相原舜

「cuisson Lucca(キュイソンルカ)」

住所:東京都品川区小山5-25-10 平岡マンション1C
TEL:03-6421-5535
営業時間:10:00〜20:00
定休日:火曜日
公式ホームページ:http://cuisson-lucca.com/
公式SNS:FacebookInstagram

Top image: © 相原舜
取材協力:品川区
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