知識ゼロでも「トゥインクル」が楽しい! 大井競馬場は、品川のラスベガスだった

小学生の頃、『ダービースタリオン』っていうゲームが流行っていて、クラスのみんなが「トウカイテイオーだ!」とか「俺は凱旋門賞までいった!」とか騒いでいた。たしか、馬を育てるのは栗東だったかな。正直、競馬についての知識はダビスタと、ゆうきまさみ先生の漫画くらいのものだし、小説『優駿』は途中で挫折した。

そんな僕に、友人がこんなことを教えてくれた。最近は品川にある大井競馬場のナイターレース「トゥインクル」がテーマパークみたいになっていて、飲み歩いても楽しいのだという。半信半疑で足を踏み入れてみたはいいけれど……。

ラスベガス感から場末感まで
ひとつの「街」みたいだ

©2018 東京シティ競馬
バーカウンター、ロイヤルボックスもある空間に面食らう

4号スタンド4Fの競馬観戦型レストラン「ダイアモンドターン」のトビラ開けた瞬間、あ、そうかここはラスベガス方式なんだ、と思った。ラスベガスではとにかく気持ちよくギャンブルを楽しんでもらうために、食べ物などの金額を下げつつもゴージャスな雰囲気になっている。

©2018 東京シティ競馬
ダイアモンドターンの指定席は、高級レストランさながら

アメリカのドラマで「おトクに遊びたいならベガスで」っていうセリフも見たことがあるけど、ダイアモンドターンの充実もまさにソレ。京急ホテルのシェフが監修する超豪華なビュッフェが食べ放題で、1席5000円から。決して高くはない。

ちなみに最上級の個室ロイヤルボックスは10人が座れて15万円。接待などに使われることも多いようだけど、仲間内の飲み会でもありだと思った。

©2018 東京シティ競馬
G-FRONTは、ゴール前の熱戦が楽しめる贅沢なエリアでもある

大井競馬場の場合、指定席の種類が多いのも楽しい。

「G-FRONT」と呼ばれる2015年にオープンした新スタンドの3階はまるで社交場のようだし、「L-WING」には、オフィスなのかな? という雰囲気のLL-Seatがある。広々とした2人掛けシートなのでカップルに人気だそうだ。

こんなにもスタンドや階ごとによってコンセプトが違うなんて! わかりやすく言うと、高級なウイングルームがある4Fには銀座ライオンが入っていて、無料観覧席のある2階には松屋がある、といった具合だ。

4号スタンドの3Fミリオンシートには赤鉛筆を耳にかけたオヤジさんたちが腕組みしながら競馬新聞とにらめっこしているレトロな雰囲気も。

ここに来ると、あぁ競馬ってこれだよな、とも思う。

モツ煮をビールで流し込み
気がついたら叫んでいた

©2018 TABI LABO
「幸福堂」のモツ煮込や牛スジは定番。段ボールがトレイ代わり

ゴージャスなラスベガス的指定席もいいけれど、屋台や4号スタンド1Fで立ち呑むのも一興だ。とくに「幸福堂」のモツ煮がおいしい。ビールを片手に、見よう見まねで競馬新聞を拡げる。

ダビスタレベルの知識しかない僕は、とりあえず単勝で勝馬投票券を買ってみた。お試しの100円ずつだとしても、いざ買うとなるとわりと競馬新聞を真剣に眺めてしまうものだ。どれどれ、今日は大井のレジェンド・的場文男さんが出るのか……なんて。結果、外れたワケだけど。

この日は大井競馬場でも人気のある「東京ダービー」の日だった。予算3000円を握りしめて、いざ本気の勝負へ。今回は馬複に挑戦してみたりと、30分考え抜いた組み合わせで投票する。

この時点で、どうもアドレナリンが出ていた気がする。

©2018 東京シティ競馬
ビッグレース時には、こんな光景になる

ゲートが開くと、それまで気にもなっていなかった馬たちが、まるで自分の馬かのように思えてくる。数百円ずつなのに、気持ちがたぎってくる。

2000m、重馬場(雨でコースがドロドロのこと。穴馬がくる可能性も!)っていう条件が、さらに気持ちを熱くさせる。場内に響き渡るナレーションは機関銃のように早口だ。「まくれまくれ!」という観客の声もさっきまでは他人事だったけど、いつのまにか一緒になって叫んでいた。あぁ、これが競馬か。

一緒に行った友人は「お金を賭けるのって、たとえ100円でも究極の自分ごと化だよね」と関心していたけれど、確かにその通りだと思った。

使う金額さえ適度に決めておけば、瞬間瞬間を全力で楽しめる。

次の大井は
妻と息子と来よう

©2018 東京シティ競馬

「いや〜、あそこで的場さんが来るとはなぁ」

帰り道、後ろからそんな声が聞こえてきた。的場さんは地方競馬の顔で、今年62歳の大ベテラン。僕が見た東京ダービーでは2着、貫禄を見せてくれた。

もう10年来の友人とはなかなか話すネタもないけど、この日の帰り道は盛り上がった。ちなみに大井競馬場から出ている路線バスの中は、まるで遠足バスのように賑やかだ(大井競馬開催中は、大森駅や大井町駅間の無料送迎バスもあり)。

 

これまではあまり考えたことがなかったけど、家族を連れてくるのだってありだ。子どもも馬を見るのは好きだろうし、馬との触れ合いイベントや、夏にはヒーローショーやグルメイベントもあるらしい。入場料が100円(15歳未満は無料)という敷居の低さも良かった。

天気が良ければビアガーデン気分で一杯はじめられるし(大井オリジナルのクラフトビールがある、というのにも正直驚いた)、スタンドや階を選べばムードがあるエリアもある。トゥインクルというだけあって、イルミネーションもキレイだ。

夕方からどっかいこうか、なんてときは、ちょっとした非日常感を楽しめる大井競馬場も候補に入れてみようと思う。

©2018 東京シティ競馬
イルミネーションも綺麗で、ちょっとした遊園地気分
©2018 東京シティ競馬
生で見るサラブレッドのスピード感は必見

「東京シティ競馬 大井競馬場」

住所:東京都品川区勝島2丁目1-2
公式HP:http://www.tokyocitykeiba.com/

Top image: © 東京シティ競馬
取材協力:品川区
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。