神戸で4万本売れる! 100年近く愛されてきた極上の「シトーレン」

先日、10年以上ぶりに兵庫県神戸市を訪れました。

神戸生まれの友だちから「絶対に行ってほしいパン屋さんがある! あ、オシャレして行ってね」という連絡を受け、ファッションに厳しいオーナーさんなの? と疑問を抱きながら、新しいワンピースを纏って三ノ宮駅へ。

紹介されたのは、神戸市生田町にある「フロインドリーブ」。神戸では知らない人はいないほどの超有名店ですが、関東育ちの私はその名を知らず……その建物に目を疑いました。

©2018 AI INAGAKI

住所を間違えたのかと、思わず電話。

「教会なんだけど……」

「うん、旧神戸ユニオン教会」

「え、パン屋は?」

「そこだよ。神戸の人が、自分へのご褒美や優雅に過ごしたい日に行くの。素敵でしょ?」

94年の歴史をもつパン屋
神戸が愛した「フロインドリーブ」

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パンやケーキが食べられる2階のカフェスペース

フロアに足を踏み入れた瞬間、「オシャレしてきてね」という言葉に納得しました。綺麗な陽が差し込み、正面には大きなステンドグラス。

あっけに取られてしまうほど神聖な空間と、鼻腔をくすぐる焼きたてパンの香りに、幸福感がむくむく膨れあがります。このお店に来ることを、日々働きながら楽しみにしている人たちがいる、というのもわかる気がする!

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パンや洋菓子を販売している1階のベーカリー

このお店の初代オーナーは、ドイツ人のハインリッヒ・フロインドリーブさん。30歳をすぎた頃、第一次世界大戦の終戦を日本で迎え、1924年、40歳で神戸に「フロインドリーブ」をオープン。ドイツパンを日本に広める先駆者となりました。

その後、第二次世界大戦の空襲により建物が全焼したり、1990年の3代目のときには阪神淡路大震災で甚大な被害を受けましたが、神戸の人たちの再開を願う声に奮起し、当時の社長夫妻が挙式をあげたこの教会を改装して、営業を再開させたそうです。

この時期しか手に入らない!
冬の神戸で4万本売れる「シトーレン」

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ドイツでは街からシュトレンを焼く匂いが漂ってくると、クリスマスの準備を始めるそうですが、その文化を神戸で根付かせたのが「フロインドリーブのシトーレン」。

クリスマスが近づくと、こぞってこの「シトーレン」を求めにお店を訪れるのだそう。

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「シュトレンは、クリスマス当日を楽しみに、準備期間から食べるパンです。日が経つごとに粉砂糖やバターが浸透し、熟成すると味に深みが出てくるので、みんなで少しずつ切り分けながら毎日味の変化を楽しめるんですよ」

と、取締役の上原嘉恒ハインリッヒさん。

小麦粉に対して30%以上と、たっぷりバターを使用した「シトーレン」は、今まで食べたことのあるシュトレンとはまったくの別物。ドライフルーツがぎっしり詰まっていて、本来はこんなにもしっとりしたパンだったのか、と驚きました。

さらに、毎日味が変化していくなんて、1本食べ終わる頃にはすっかり心を奪われているに違いない。だからこそ、クリスマスという特別な日の定番として愛され続けているんですよね。

ドイツでは、「シュトレン」の基準が
法律で定められている

シュトレンが誕生したドイツでは、法律でレシピの最低基準が定められているそうです。一方、日本ではまだ明確な基準が存在していません。

そこで兵庫では県内のベーカリーの有志で、シュトレン文化を守っていくために「小麦粉に対してバター30%以上、ドライフルーツ60%を練り込む」という日本で初めての指針をつくりました。シェフの個性を活かしながらも、このルールを守りながら作られたシュトレンを「HYOGOシュトレン」と呼んでいます。

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「シトーレン」はオンライン販売を行なっていないので、予約・受け取りは直接足を運ぶか、電話で郵送をお願いをするのが基本(FAXも可能)。

やっぱり冬の神戸まで足を運んで、「フロインドリーブ」の空間ごと味わってみてほしいですが、なかなか行けない!という方も多いですよね。

2018年12月15日(土)に中目黒で、5種類の「HYOGOシュトレン」を食べ比べできるお披露目会が開催されます。残念ながら購入はできないのですが、東京で本物を味わえる貴重な1日になりそうです。イベントの詳細はこちらから(予約制です)。

フロインドリーブ

住所:兵庫県神戸市中央区生田町4-6-15
TEL:078-231-6051
FAX :078-221-4530
営業時間
SHOP / 10:00〜19:00
CAFE / 10:00〜19:00(L.O18:30)
定休日:水曜日

Top image: © 2018 AI INAGAKI
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