僕は得してきた人間だけど、外見への偏見はいらないと思う――ベンのトピックス
「あなたの顔は本のようです、 人はそこから異常を読みとります」
これはシェイクスピアの「マクベス」第1幕からの引用です(僕が日本語に翻訳しました)。
それが単なる表情ならまだいいかもしれない。だけど、人種や性別、あるいはその人の顔から受ける印象そのもので性格を決めつけてしまうのは問題だと思います。
これは外見への偏見についての話です。
じつは僕はその偏見で得をしてきた人間です
人格や行動よりも外見から判断する人は多いです。僕自身「周囲からどう見られているのかな?」と気になります。ネガティブに見えていたらどうしようと考えることがあります。
だけど、外見の偏見という観点でいえば、僕は社会的に得をしてきたと思います。とくにイギリスで暮らしていた時は、いろいろな利益をもらってきたはず。
なぜなら、僕はイギリス国籍で、白人で、男性で、ロンドンの私立学校出身で、若くて、健康です。少なくともイギリス社会においては、かなり成功する確率が高いと言えるでしょう。
だけど、僕はわかっています。僕の人種や性別は、僕の能力とはまったく関係ありません。
偏見の多い世界だから「Profile of Dogs」は、とても効果的だと思います
少し話が逸れました。
人種や性別を含む“外見への偏見”は重いトピックだけど、この記事ではポジティブでおもしろいことを書きたいと思います。
ここで紹介したいのは、TEDで働くプロダクトデザイナーのアロン・ウェイェンベルグさんが制作したGoogle Chromeの拡張機能(エクステンション)です。
名前は「Profile of Dogs」。SNSのLinkedInでの外見への偏見を減らすために作られました。
機能は簡単です。「Profile of Dogs」を使うとユーザーのプロフィール画像はすべて犬になります。これを使えば、人材採用の際、偏見や先入観をなくして本当に優秀な人を見分けることができるわけです。
ウェイェンベルグさんのアイデアは冗談みたいだけど、僕は真面目に将来このような拡張機能やアプリが普及するといいと考えています。
外見への偏見をなくすのに効果を発揮すると思います。しかも、ユーモアを持って。
シェイクスピアだって昔は認められなかった
もう一度、シェイクスピアの話に戻りますね。シェイクスピアが生まれた時代では、社会的に戯曲家や俳優などのクリエティブな職業は保守的なエリートに認められていませんでした。戯曲は軽々しいものだと思われていたんですね。だけど、約400年経った現在では、世界中の子どもたちがシェイクスピアを勉強する時代になりました。
平等な社会を作るのは、信じられないほど難しいことです。
とはいえ、僕は実力主義を信じているので、良い社会でも、良い会社でも、能力や創造性がある人、ユニークな想像力がある人を応援するのは大事なことだと思います。