「ラガーシャツの襟」には「紳士の気遣い」が込められている?
そもそもはラグビー用のアスレチックウエアとして誕生しながら、現代ではファッションアイテムのひとつとしても親しまれているラガーシャツ。
そんなラガーシャツには、じつに多くのユニークな特徴があります。
まずは、首元のボタンを触ってみてください。ほかのシャツと触り心地が違いませんか?
そう、ラガーシャツのボタンはゴム製なんです。
というのも、ラグビーはあらゆる球技のなかでも、とにかくボディコンタクトの多いスポーツ。競技中に選手同士が接触したときに普通のボタンでは割れて怪我をする恐れがあるため、ゴム製のボタンを採用するようになったといわれているんです。
ちなみに、ラガーシャツには「イングランド式」と「ニュージーランド式」の2種類が存在します。
まず、ボタンが表に露出しない比翼仕立てを採用しているのがイングランド式のラガーシャツの特徴。これは、ボタンが破損したときに、自分だけでなく相手チームの選手が怪我しないように配慮した作りなのだとか。
次に、襟元までボタンを留められるかどうか。
写真のように首元のトップ部分までボタンが付いているラガーシャツはイングランド式で、トップにボタンがなく、オープンカラーでの着用を前提にデザインされているのがニュージーランド式です。
では、なぜイギリス式とニュージーランド式で襟のデザインに違いがあるのでしょうか?
じつは、ラグビー発祥の地であるイギリスでは、試合後に両チームが集まって「アフターマッチファンクション」という歓談会をおこなう習慣がありました。
そこではお酒を飲みながら試合についてあれこれと語らいながらパーティーをおこなうのですが、正装で出席するのが決まりとなっています。
そのため、ラガーシャツの上からブレザーを着てネクタイを締められるよう、ドレスシャツと同じように首元までボタンを留められるように作られているんです。
「もっとも格闘技に近い球技」ともいわれるラグビーですが、ゴム製ボタンや試合後の歓談会は、少しでも怪我を減らしてフェアプレーをするための工夫なんです。
ラガーシャツの襟元には、襟を正して試合に臨む紳士の国・イギリスならではのスポーツマンシップが込められているんです。
※上記、諸説あり。